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同士との邂逅
十四 憂虞
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秘密裏に保護せよ、と命じられた月代は任務を全うしたのだが…。

「無理な薬物の混用や乱用に酷使した実験体の寿命は短い。唯一生き残ったのがこの瑠璃と破璃だった」
それで俺が引き取ったんだが最初は威嚇された、と苦笑しながら月代は猫のようにゴロゴロと喉を鳴らす破璃を撫でる。
若干思い出に浸りながら月代が語る話の内容に、横島は何も言えなかった。

人狼である少女の姿が脳裏に浮かぶ。それと同時に本来の世界で心霊兵器を研究していた施設を思い出した。
(実験体か…)


「……―――破璃は普段屋敷を囲むこの森に住んでいる。更に屋敷には侵入者防止の結界を張っているからアパートよりは安心だ。俺に用事がある時は瑠璃に頼め」
「……は?ちょ、ちょっと待って。ごめん、聞いてなかった」
突然言われて横島は戸惑いながら聞き返す。ぼんやりしていたので月代の話が頭に入ってこなかったのだ。
「頼みがある、と言ったんだ」
聞いていなかった事を特に咎めず、月代はソファーに横たわる男に視線を投げながら話を繰り返した。

「彼の看病をしてほしい。それでなるべくこの家から出さないでくれ…アパートの物置とこの部屋を出入りできるのは俺とお前だけに設定しているから……それとくれぐれもナルトが俺だと他言しないでくれ」
「あ、ああ。わかった」
告げてくる内容を頭の中に叩き込んで了承する横島。月代はつけ加えるようにして話を続けた。

「彼にナルトが俺だとバレるわけにはいかないからアパートに置くわけにもいかない…かと言って怪我を治療する場所が必要だったから、仕方なくな」
弁解するように肩をすくめる彼の言葉を聞きながら、横島は部屋に視線を走らせる。アパートにはない書棚がいくつもある事で納得がいった。

(そういやちっさい時から難しい本ばかり読んでたよな……表のナルトが読書するわけないから、この家に置いていたってことか)
火影の記憶から幼少時代のナルトが思い浮かび、うんうんとひとり頷く。訝しげにこちらを見つめる月代に気づくと横島は口ごもりながら慌てて聞いた。

「お、俺に教えてよかったんか?」
「以前、襲われただろう」
「え?ああ、あの時か」

夜に醤油を買いに行こうとちょっと外出した際にガラの悪い男達に取り囲まれた事を思い出す。偶然暗部任務をしていた月代のおかげで助かったのだと、横島は目前の彼に内心感謝の言葉を投げた。

「投石はともかくアパートに侵入して暴れられると面倒だからな」
「ああいった奴らが勝手に入って来る事もあんのか」
「滅多にないけどな。俺はともかくお前は困るだろう」
「いやお前も困れよ」

石を投げられるのも大した事なのにと呆れ顔で横島はツッコむ。そんな彼の様子に気づかず、月代はアパートの物置と繋がっている扉をくいっと親指で指差
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