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男女美醜の反転した世界にて
反転した世界にて6
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にないよ」
「あ、荒井くん。おはよう」

 いつの間に横にいたのやら。荒井くんは僕の横で白上さんを呆れた顔で眺めながら、辛辣な発言。

「弁当、ホントに作って来たんだな」
「いやまあ」
「で、何がどうしてこうなったわけ?」
「僕も聞きたいかな」

 ――そのうち、先ほどまで遠巻きに眺めていただけのクラスメイトの何人が、一心不乱にお弁当を貪る白上さんを何とか説得しようとしていたのだけど。 
 荒井くんの予想通り、白上さんはその一切に耳を貸すことなく食事を続ける。

「あ、チャイム。俺、もう行くわ」
「う、うん。また、お昼休みに」

 やがて、HRの時間が来た。
 信じられないことに、白上さんは先生が来てもお弁当を食べ続けるという暴挙に出る。先生に怒鳴られながら、しかし食べること自体はやめず、見事な食べっぷりを披露し始め、ついには完食してしまうという偉業を成し遂げた。
 一体、何が彼女をそこまで駆り立てたのだろうか。
 HRの間、白上さんは廊下に立たされることにはなったのだけれど。去り際の彼女の横顔は、とっても晴れやかだったとさ。
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