暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
月下の開戦
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強力だ。

右手にレイジングブル。左手にダブルイーグルを握り、彼は笑う。



力を遠慮無く開放できる状況にいることに。

その相手がいることに。


無制限に上がっていく高揚感はある一定の所で止まってしまう。
これこそが欠陥、彼に捺された烙印の証。

しかしそこは『水城螢』に戻れるギリギリのラインでもある。

それ以上はもう1つの《深層感情》が歯止めを掛けて、螢には行くことが出来ない。

今は必要ない。


(守るんだ。キリトを、シノンを……!!)


レイはもう一度不敵に笑うと、咆哮を上げて《レギオン》に突っ込んで行った。









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Sideアスナ



キリトとレイの依頼主、菊岡誠二郎ことクリスハイト(本当は逆だが)をALOに呼び出し、仲間達と共に吊し上げた結果、彼らがとんでま無いことに巻き込まれているのを知った。

「……クリスハイト。あなたは知っているはずよね。2人が、どこからダイブしているのか」
「あー……それは、まあ……」

歯切れの悪い答えにセラが刀を首元に突き付け、背から黒いオーラを出している。

「わぁ!!待った待った!!心配しないでくれ。千代田区お茶の水の病院だ。心拍モニターをするため病院で、という措置を取っただけで、決して身体の異常を予測したからということは一切……」

言い訳を連ねる菊岡を手で制して、さらに問い詰めた。

「千代田区の病院、キリト君がリハビリで入院してた所!?」
「ああ、そうだが……」

しめたと思い、アスナはきっぱりと宣言した。

「私、行きます。現実世界の、2人のところに」
「……わかった。僕から話は通しておくよ」

菊岡がログアウトしていくのを見送ると、アスナはセラの方を見た。

「セラちゃん、どうする?」

暗に一緒に行くか?の問いにセラは首を横に振った。

「お兄様は大丈夫です。あの人は……1人の方が、強いですから。……それに、お兄様の傍にいるべき人は、私ではありません」

でも、とセラは目を伏せて続ける。「アスナさん。貴女がもし、()()お兄様をも受け入れてくれるなら……」

アスナはセラに笑い掛けて小さく頷いた。

「大丈夫。私は……私達はもう螢君を1人にはしないよ」

私達は無力で、一緒に戦う事はできないけれど、

彼が帰って来られる場所ではいられる。

「じゃあ、行って来るね!」


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