ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
月下の開戦
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
静寂を取り戻した洞窟は、先程までとは違う沈黙に満ちていた。
俺は「様子を見てくる」と言って再び洞窟の入り口付近に匍匐している。
(さぁて、どうしたものかねぇ……)
タイムリミットは残り30分。その間に死銃と後1人を何とかしなきゃいけない。
チームプレーをしているのは俺達ぐらいなものなので、サテライト・スキャンで2人組を探せば良いのだが、死銃が光学迷彩を使っている内は映るのは1人、場合に寄っては光学迷彩が1着だとは限らない。
こっちの手は完全近接型の剣士1人、絶不調の狙撃手1人、後俺か。
最後にスキャンを見た限りではプレイヤーはあらかた減ってフィールドの北側、つまりここら辺に集まってきていた。
(だが……)
影が見当たらない。銃声すら聞こえない。
俺は1つの結論に至った。
死銃がそいつらを消したのだ。ただ倒しただけなのか、それとも……?
(………何だ、この違和感は……?)
自分の思考に違和感を感じて、同じ言葉を反復する。
(……『ただ倒しただけ』?…………そうか!!)
刹那、霧が一気に晴れたような爽快感と共に、俺の脳は作戦《プラン》を組み立て始める。
かつて、レイは犯罪者プレイヤーの間で『紅き死神』、もしくは『レッド狩り』として畏れられていた。
しかし、それは一般プレイヤーも知っているような表の名。しかし、犯罪者プレイヤー達、裏の住人達は彼の事を『希望の光』と掛けてこう呼んでいた。
――全てを見透す者『鬼謀の審判者』
まぁ、誰が言い始めたかは知らないが、とんでもなくつまらないギャグだったので、本当の意味で裏の名になったわけだが……
―閑話休題―
朧気ながら死銃の殺人トリックを察した俺は思考を次の段階にシフトさせる。
やるべきことは3つある。
1、死銃とその協力者の撃破
2、他のプレイヤーの撃退
3、その間に来襲するであろう《レギオン》の足止め、撃破
到達予想時刻まで残りおよそ20分。その間に1・2を終わらせるのは少々しんどい……。
その時、洞窟の奥でシノンの声が聞こえた。反響で聞き取れはしなかったが、ただならぬ叫び声だった。だが、それは動揺する事ではない。
感情を発露させる事は往々にして殻を破るきっかけになる。彼女にそうさせたのは、勿論キリトだろう。
(……やれやれ。つくづく敵わないな。アイツには……)
体を起こし、壁に掛けてあったライフルを背負い直すと、洞窟の奥へ入っていった。
______________________________________________
Sideキリト
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ