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スーパーヒーロー戦記
第74話 立ち上がれ、宇宙の王者
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介さんの方は?」
「うむ、その事なんだが―――」
 途中で宇門博士は言葉を詰まらせた。甲児はその意味を知っている。
 言い難いからだ。かすかにだが甲児は覚えている。甲児の乗るTFOが円盤獣を超える新たな敵【ベガ獣】の攻撃により墜落するその間、デュークの乗るグレンから聞こえてきた操縦者の苦痛の叫び。
 あれから察するに相当の痛手を被った事となる。もしくは、何かしら危険な物を施されたか。
「甲児君、来ていたのかい?」
「大介さん!」
 声のした方へ皆が顔を向ける。其処に居たのは大介であった。
 以前会った頃と変わらず気さくな感じで声を掛けてきたのだ。
「大介さん、体の方は大丈夫なのかい?」
「それは……」
「その事については私から話そう」
 甲児と大介の会話を割り切って宇門博士が入ってきた。甲児はそれに従い視線を大介から宇門博士へ移した。
 同様になのはやマリアも宇門博士の方を向く。
「今、大介の体はベガトロン放射能と言う未知の病魔に侵されているんだ」
「やっぱり、あの時の苦痛の叫びはそれだったんだね、大介さん」
 甲児は大介に問い掛けるが、大介は何も言わなかった。それに対して詮索をしている余裕はない。今は寧ろ別の事について知りたい事があったからだ。
「それで、その大介さんに掛かっているベガトロン放射能はどんな病気なんですか?」
「一概には分からない。だが、それは確実に大介の命を危機に陥れていると言うのが分かる。だが、今の我々にはこれを除去する方法がないんだ」
「私が来た時もそうだったの。このままじゃ兄さんは―――」
 マリアの顔が涙に濡れていく。大介に妹が居ると言うのは初めて聞くが、どうやら僅かな生き残りなのだろう。
 その兄妹の感動の対面だったと言うのに、その兄が死の病に侵されていると言うのだから。
 まるでドラマみたいな展開だ。それも、悲劇のドラマのだ。
「冗談じゃねぇ! このままみすみす大介さんを殺させるかってんだ!」
「だけど甲児君、治療法は見つからないんだ。手の施しようはないんだよ。我々に出来る事と言えば、病の進行を遅らせる位のことしか出来ないんだ」
「だったら、それを感染させた奴等に聞きゃ良いんだ! ベガ星連合軍の奴等をとっちめて治療方法を吐き出させてやる!」
 両手を目の前で叩き付けるようにして甲児が言い切る。そんな方法今まで何人の人間が思いついた事だろうか?
 しかし、言うは易し、行うは難し。と言う言葉もある。
 ベガ星連合軍はそれだけでも巨大な存在だ。その上更に悪の軍団が集まり侵略同盟なる組織を作り上げてしまった。そうそう倒せる
存在ではなくなってしまったと言える。
 だが、それでもやらなければならないのだ。掛け替えのない友を救う為にも。
「宇門博士!」
「どうしたのかね?」

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