第二十八話 少年期J
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一通り家の中を探索し終わった俺たちは、リビングに戻って母さんが入れてくれたココアで一服する。出来立てなので火傷しないように、アリシアと一緒にちびちびと飲んでいく。ココアの熱が伝わった手のひらを、妹と合わせてみたりして「あったかいねー」と笑いあった。
今はがらんとしていて寂しい感じだけど、ここに住むことになるんだよな。家具が入れば、生活感も出てくるだろう。本当に母さんとコーラルには感謝しないとな。こんないい家を見つけてくれたんだから。
「……よし、拠点もできたしこれで落ち着くな。アリシア、これからはこの街を放浪しような。目指せ、クラナガン制覇!」
「うん、制覇しちゃおう!」
「2人とも元気ね」
俺と妹の声に、母さんは微笑みながら言葉を返す。母さんも入れたココアをゆっくり飲みながら休憩している。たぶんもう少ししたら、引っ越しの業者さんも来るだろう。来たら忙しくなるだろうし、今のうちにのんびりしておかないと。
「でも2人とも。お散歩をするのは、準備ができてからにしないと駄目よ」
ふと思い出したかのように、ココアを一口飲んだ母さんから告げられる。それに俺たちの頭に疑問が浮かぶ。準備ってお引っ越しの整理のことだろうか。
「準備って引っ越しの?」
「あら、忘れちゃったの。お引っ越しが終わったらお買い物に行って、用具や服を揃えないと駄目でしょう。机や椅子も合わせて買うから忙しいもの」
母さんは手に持っていたマグカップを置き、俺たちに向けふわりと顔をほころばせた。
「春から2人とも、初等科の1年生になるんだから」
……忘れてた。そういえばあったね、義務教育。
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