第二十八話 少年期J
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けど」
「そう? でも綺麗だぞ。俺は好きだけどな」
透明感もあるし、確かお守りとして有名な石でもあった。俺は結構気に入っている。優しい色って感じがして琥珀色は好きな色でもあったな。そんな風に考えながら、何気なく口にした言葉に無言で頭をはたかれた。そこまで威力はなかったけど、なんで攻撃されたんだ。半眼で見ると向こう側に顔を逸らされる。わけわからん。
「ちょっと色々知っているからって調子にのんな」
「えー、理不尽。というかなんでそっぽ向くんだよ」
「うっさい、いいだろ別に」
「……変なエイカ」
結局エイカは目を合わせてくれなかった。それに俺は首をかしげる。そんな俺たちの様子を静かに見守っていたコーラルに視線を向けてみると、小さくくすくすと笑っているようだった。こっちもなんで笑っているんだろ。
『いえ、傍から見るとちょっとおかしかっただけです。ますたーの変な雑学知識はいつものことですが、エイカさんは何か詳しいこととかはあるのですか?』
「俺が?」
コーラルの質問にきょとんとするエイカ。そういえばクラナガンの街並みに詳しいこと以外には、食べ物とかぐらいしかエイカがよく知っているものはわからないな。俺はクイズ番組とか某ボッシュートの番組とかが好きだったから、覚えている程度の雑学知識だったけど。
「……それ答える必要あるのかよ」
「とかめんどくさそうに言いながら、実は雑学で俺に勝てそうなものがないことに焦るエイカであった」
「勝手にねつ造するな!? 俺だってお前が知らないような知識ぐらい、持っているに決まってるだろ!」
うん、本当に負けず嫌いな性格だねー。見てて面白いけど。言った後、若干やっちまった感漂う表情を見せていたが、気づかないふりをして続きを促す。エイカにかなり嫌そうな顔はされた。言葉には責任を持ちましょう、と言うとしぶしぶという感じで口を開いた。
「……花、とかはそれなりに」
「…………え、まじで?」
ちょっ、ストップ、ストップ。普通に意外だっただけで、他に他意はないから。だからひっかいてこようとしないで!
「へぇー、そっか。俺、花は全然わからないや」
「…花なんてよく見るんだからわかるだろ」
「そっかぁ? あ、ちなみにあそこに咲いている小さな花は何かわかる?」
「あれは、カランコエって花だ。色鮮やかなものが多くて、寒さに強いから冬の花としては有名だろ」
「うわぁ、初めて名前知った」
本当にあっているのか俺には判断がつかなかったが、ここまできっぱり言われると本当なんだろうな。コーラルも何も言わないし。その後は、公園の花壇を一緒に眺めながらのんびり過ごすことになった。見たことはあったけど、名前や特徴の知らなかった植物を知れて、なかなか有意義な時間だったな。
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