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FULL魔法ブリッツ学園〜魔法使「えな」い〜
序章
2度あることは3度ある
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「冗談はさておき、その選抜生徒を君にしようと考えている」

「本当ですか?」

「あぁ、本当だとも」

 校長は嘘も偽りもなさそうな、満面の笑みで答えた。これは進学するつもりの俺にとって、大漁の内申点をゲットするチャンスだ。

「ところで、交換先の学校はどこですか?」

「私立ブリッツ学園だよ」

「へ?」

 さらっと聞こえた名前が空耳であると信じたい。

「だから、ブリッツ学園だよ」

 いやいや、魔法も使えないのに魔法学園とか正気の沙汰ではない。向こうの生徒はラッキーだろうけど、こちらにしてみれば貧乏くじも良いところだ。

「ちょっと待って下さい。すぐに返答はしかねます」

 ほとぼりが冷めたころにやんわりと断ろう。向こうの授業で良い点を取れる気がしない。魔法なんか使えない人間に無茶な話過ぎる。

「良いのかね? 向こうからは学園主席の辻さんと、他二名がこちらに来るそうなのだが?」

 このおやじ、辻さんと俺の間柄を知ってて言ってるに違いない。ものすごくしたり顔なのがちょっと悔しさを煽る。行くも地獄、とどまるも地獄、こうなったら答えは一つしかない。

「わかりました。行きます。行かせてください」

 謀った通りに事が進みご満悦の様子の校長が、立ち上がり窓の外を見つめた。

「世の中には、才能が埋もれたまま一生を終える人間が大半だよ。君は若い、失敗しても良い、劣等生でも良い、チャンスには貪欲に喰らいついて生きなさい」

 良いこと言ったつもりか? 詐欺紛いなやりくちの後では何も響かない。お決まりの台詞と言うか、正論なんて吐けた立場かよ。

「君も一瞬は思っただろう。これはチャンスだと」

 何かの新しい勧誘かと思わせるほどの口ぶりで痛いところを突いてくる。ノーとはいえない雰囲気にされてしまった。

「で、僕はいつからブリッツ学園に通えば良いんですか?」

 色々と仕方なく肯定気味の返事を返すと、校長は俺に数枚のコピー用紙を手渡した。そのふざけた内容はまさかの急展開、やはり三度目が起きた。
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