第三十八話 身分なんて関係ねえよな
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でにな」
「貴様まさか……?」
ミラニは闘悟の言いたいことがようやく理解した。
クィルはまだ分かっていないのか、闘悟とミラニを交互に見る。
「平民は貴族に勝てる。その事実をコイツらに教えてやりたかった」
闘悟は未だ嘆いているカイバ達に視線を向ける。
このルームメイトのほとんどが平民だ。
「そのためだけに、あんな挑発をして決闘を受けたのか?」
ミラニはやれやれといった感じで肩を落とす。
「身分なんてくそくらえだ。平民だって強え奴は強え」
「仮にも王女様を前にして言うことか?」
「あ、ごめんクィル。気を悪くしたか?」
「いいえ、トーゴ様のお考えには私も賛成なのです。トーゴ様の言う通り、平民だからと言って、弱いとは限りませんです。この世界の歴史はそれほど浅くはありませんです。過去には平民の中から英雄と呼ばれた者もいると聞きますです。ですから、強さに身分は関係ありませんです」
クィルならそう言ってくれると思っていた。
「これで、『ヴェルーナ魔武大会』は盛り上がるぞ」
闘悟は歯を見せて微笑む。
「平民は遠慮なんかしなくてすむ。オレがそうさせる。一か月後が楽しみだ」
「貴様、まさか大会のことまで予測していたのではなかろうな?」
「さすがにそれはな。だけど、無かったらそういうイベントを作ってもらおうとは思っていたけどな」
王には貸しもあることだしな。
「何て奴だ……それに、まだ何か考えてるようだしな……」
ミラニは溜め息を吐きながら、頭を軽く振る。
「はは、トーゴ様には常識は通じませんです」
呆れている二人をよそに、闘悟は一か月後の『ヴェルーナ魔武大会』が楽しみで仕方無かった。
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