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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-20王子と神官
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に孤島のように残された場所に、宝箱がふたつ、離ればなれに置いてある。


「随分と、また。徹底しておるの」
「滑る床の方向が、複雑に配置してありますね。よく見れば、たどり着けそうです」
「適当に踏んでしまっても、そのうちたどり着けそうですけれど。そうはいっても、滑るのも疲れますものね。わかるなら、わかったほうがありがたいですわ。」
「あの宝箱なら、ここ。そっちの宝箱なら、最初は、ここ。」
「早いの、ユウちゃん。わしには、遠くの矢印まではよく見えぬ」
「どちらかは、罠かもしれません。ですが、()けてみないわけにもいきませんね。足場が悪いので、気を付けないと」
「それならば、わしがインパスを使えるでの。近くには寄らねばならぬが、罠は()けられますぞ。残しておいても王子が開けましょうし、退治するも良かろうと思い、ここまでは使っておらなんだがの」
「それなら、安心ですが。罠を残しておいても、大丈夫ですか?」
人食(ひとく)(ばこ)程度なら、連れは()(かく)、王子には万一ということも無かろうて。今は、我らが急ぐが肝要(かんよう)じゃ。自ら危険に首を突っ込む役立たず共と、()せるクリフトの身とでは、(はかり)にかけるまでも無い」
「そうですね。では、こちらから行きましょうか」


 少女が見極めた滑る床の正しい道筋をたどり、魔物が擬態(ぎたい)する宝箱はブライの魔法で看破(かんぱ)して()け、残った宝箱をトルネコが開ける。

「これが、パデキアの(たね)ですわね。実物を見るのは初めてですけれど、間違いないようですわ。状態も、いいようですわね。」
「おお、左様(さよう)か!ならば一刻も早く、ソレッタに戻りましょうぞ!脱出魔法を使うゆえ、皆さん寄ってくだされ!」
「リレミトも、使えるのね」
「王子様は、いいのですか?」
「捕まえようとしても、すぐには見つかりますまい。遅くともたどり着けば、種が無いことはわかりますからな。ならば今は臥せるクリフトが、パデキアが優先じゃ」
「そうですね。では、お願いします」
「うむ。リレミト!」


 魔法の力で洞窟を一瞬にして脱出し、外に出る。

 馬車の周りは、()()累々(るいるい)()(さま)だった。
 魔物の(しかばね)に囲まれたマーニャが、気楽に手を振る。

「よう。あったか?」
「……兄さん。これは、一体」
「あ?なにがだ?」
「この、惨状(さんじょう)だよ」
「いや、なに。魔力は余ってるし、暇だしな。嬢ちゃんもお前もいねえなら、遠慮もいらねえってんでな。ちっと、派手にやり過ぎたら、どんどん集まってきちまってな」
「やり過ぎにも、(ほど)があるだろ。ひとりで、なにかあったらどうするつもりだったんだ」

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