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連隊の娘
第一幕その五
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第一幕その五

「僕がですか」
「そうよ」
 今度はマリーが優しく彼に告げる。
「貴方は私達の仲間よ」
「マリーの仲間」
 彼女に言われると明るい顔になるトニオだった。
「そうなんだ、僕は」
「そうよ。それでね」
「乾杯だ」
 マリーに続いてシェルピスが言ってきた。
「皆ワインはあるか」
「ええ、ここに」
「ありますよ」
 兵達が笑顔でワインの瓶を次々と出して来た。
「山賊達を成敗した祝いで持って来ていたんですよ」
「皆で飲もうと思って」
「そうか。それは好都合だ」
 彼等の言葉を聞いて満足した笑みになるシェルピスだった。やはりここでも実にいい笑顔である。
「それならだ」
「飲みますか」
「連隊の歌を歌いながら」
「うむ、では歌おう」
「我等フランス軍の中でも」
 早速乾杯しながら歌いだす彼等であった。その中で村人達にも杯を手渡していく。
「さあどうぞ」
「一杯やりましょう」
「あっ、こりゃどうも」
「御親切に」
「ですから」
 ここでまた村人達に言うシェルピスだった。
「我々は戦争をしに来たのではないのですから」
「平和をもたらしにですね」
「そして山賊を」
「そういうことです」
 このことは確かに言うのであった。
「ですから御安心下さい」
「ええ、それじゃあ」
「そういうことで」
 村人達と兵士達は仲良くそのワインを飲みはじめた。暫く談笑していたがやがて遠くからまた大砲の音が聞こえてきた。村人達はそれを聞いてシェルピスに問う。
「あの砲声は」
「まだ山賊がいるのですか?」
「いえ、あれは点呼の合図です」
 彼はそれだと答えた。
「それなのですよ」
「点呼のですか」
「それなのですか」
「はい。ですから一旦戻ります」
 彼はすぐに兵士達に顔を向けた。そうして重厚な声で告げるのだった。
「では一旦戻るぞ」
「はい、それでは」
「一旦戻りましょう」
「それではまた」
 兵士達は村人達に一先ず別れの挨拶を告げてその場を後にした。その時トニオも連れて行こうとした。
「御前も来てみるか?」
「一回覗いてみたらどうだうちの連隊を」
「えっ、僕もですか」
 話を振られた彼はまずは目をしばたかせた。
「僕もっていいますと」
「マリーが好きなんだろう?」
「じゃあマリーのいる場所を見てみたらどうだ」
「悪い場所じゃないからな」
 彼等は笑ってトニオに告げてきた。
「だからな」
「ちょっと来て見るんだな」
「はあ」
 トニオは彼等に言われるままだった。しかしここでシェルピスが言うのだった。
「まだいいだろう」
「いいんですか」
「別に」
「兵隊でもない人を連れて行くのもどうかと思うしな」
 こうも言うのだった。
「だからな。止め
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