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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十七話  休戦か和平か
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な……。リッテンハイム侯と顔を見合わせた、侯が頷く。

「良く聞いて欲しい、わしとリッテンハイム侯はこの機会に反乱軍との間に和平を結ぼうと考えている。卿らはどう思うかな?」
眼の前の三人が顔を見合わせた。驚きは見せていない、つまりこの三人はこの問いを想定した事が有ると言う事か……。

「休戦ではなく和平を、と言うのですな」
確かめるかのように我らを交互に見ながらエーレンベルクが問いかけてきた。低く重い声だ、そして視線は厳しい……。
「そうだ、和平だ」
リッテンハイム侯が答えるとまた三人が顔を見合わせた。どうやら納得はしていない。

「改革の実施は急務だ、平民達の不満が爆発する前に、地球教をはじめとする反帝国勢力が彼らを煽る前に行わなくてはならん。そして損害を受けた宇宙艦隊の再建には時間がかかるだろう、短兵急に行えば平民達に負担をかける事になる。それでは意味が無い。先ずは改革を優先し宇宙艦隊の再建は焦らずに行うべきだと思うのだ。どうかな?」
「……」

三人ともわしの問いかけに応えようとしない、もうひと押しが必要か……。
「そのためには帝国は反乱軍との間に和平を結ぶべきだと思うのだが」
エーレンベルクが太い息を吐いた。そして自分の考えを纏めるかのようにゆっくりと話し出した。

「……確かに宇宙艦隊の再建は平民への負担を無視して行っても五年はかかるでしょう。改革を行いながら、平民への負担を軽減しながら行うとなれば十年、事によっては十五年はかかるかもしれません」
エーレンベルクの口調は苦渋に満ちている。現実の厳しさがそうさせているのだろう。

「……しかし和平ですか、休戦ではなく……」
「マクシミリアン・ヨーゼフII世陛下の御代も現在と似ていると言えるでしょう。あの折は和平を結ぶ事無く改革を実施する事で帝国の再建を果たしました。今回もそれでいけると思うのですが……」

エーレンベルク、シュタインホフが休戦を推してきた。オフレッサーは無言だ、やはり彼も和平には消極的なようだ。分からないでは無い、これまで反乱軍として扱い戦ってきた相手なのだ。和平を結ぶとなれば対等の相手として認める事になる。納得がいかない、何故そこまで、そんな気持ちが有るのだろう。

自然休戦、そして向こうが攻めてくればイゼルローン要塞で防衛戦を行う、それで十分対処出来るのではないか……。そう思っているに違いない……。溜息が出た、それでは駄目なのだ、それでは戦争を防げない……。気が付けば首を横に振っていた。

「あの時とは情勢が違う。当時の反乱軍はダゴン星域で勝ったとはいえ帝国に侵攻するほどの力は無かった。だから帝国は反乱軍を気にすることなく改革に専念できたのだ。だが今は違う、反乱軍は十三個艦隊からなる宇宙艦隊を保持している」
「……」
三人が
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