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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
第一巻
【第四十二話】
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聞かれてエロい事考えた俺はバカだな。

仮にそんなこと言った日には――恐ろしや、複雑骨折しそうだ。


「ははっ。心配して来てくれた同級生と二人っきりで保健室のイベントって言ったらキスとかだろ。――何てな」

「え――えぇっ!?…………」


冗談なのに、キスと聞いてセシリアの顔は真っ赤に染まる。

もしかしたら夕方の夕日が照らされてるだけかもというオチがあるかもしれないが。


「ははっ、冗談だから気に――」

「ひ、ヒルトさん……」


遮るように、セシリアが俺の名をか細く呼んだのを聞いて――。


「…どうしたセシリア?」

「……ヒルトさんがお望みなら、わたくしは……――いいですわよ……?」


そう告げるセシリアの瞳は微かに潤んでいた――。

そしてゆっくりと此方に顔を近づけ、目を閉じ、唇を上向きに突き出した――。


「……っ!?」


咄嗟の出来事に、俺の頭の中が混乱する。


冗談だと…セシリアもそう受け止めると思っていたのに、現実は――頬が紅潮し、キスされるのを待っているセシリアの唇がそこに――。


「ぁ……ぅ……えと……」

「……ヒルトさん」

「は、はい…」

「女性に恥をかかせないでくださいな……ん……」


そう告げると、もう一度目を閉じたセシリア――。

それを見、覚悟を決めた俺はセシリアの両肩に手を置く――置いた瞬間、ピクンっと震えるセシリア。


そして、ゆっくりと――――唇ではなく、セシリアの額にそっとキスをした。

驚いたような表情のセシリアを見て、心臓が早鐘を打つのを抑えるように軽く呼吸をし、口を開く。


「……わ、悪い…。セシリアに恥をかかせるつもりは無かったんだが…その、む、ムードに流されてするっていうのは……セシリアにも悪いと思って…な」

「……いえ。――ですが、いつか……いつかは重ねてくださいな…」

「……えっ?」


顔を赤くし、俺にそう告げたセシリアはそのまま立ち上がると保健室を後にした――。


不意に訪れた静寂。


「…重ねるって……」


そう呟く俺の独り言は、虚しく保健室に響いただけだった――。
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