反転した世界にて5
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われてはいないはずだわ」
『……ホントすごいよ、あんたのそういうとこ』
虚勢を張っていないわけではない。けれど、本心でそう思っていないわけでもない。
どうせ空気なんて読めないのだから。目に見えない雰囲気なんて得体のしれないモノに怯えて、何もできなくなるのはごめんだ。
赤沢さんの方から、『もう近づかないでくれ』という風に言われない限り、自分にだってチャンスはあるはず――あっても、許されるはずだ。
『そうやって舞い上がんのもいいけどさ。赤沢さんがどう思ってるかもちゃんと考えなさいよ』
「わ、わかってるわよぅ……」
無論、空気が読めないことを言い訳にして、赤沢さんの感情をないがしろにするつもりはない。
だからと言って、『自分が近づくだけで赤沢さんが傷つくとか』、そういう風に考えるのは、また何か間違っている。
そこまで自分を卑下にする必要もまた、ないはずなのだ。
『もう少し身の振り方ってのを考えた方が良いんじゃない? あんたのそういうところ、よく思ってない連中だっているんだしさ。ほどほどにしなよ』
「はいはい」
『……と、父さんが呼んでる。夕飯出来たみたいだから、そろそろ切るわね』
「ん。じゃね」
翔子は友人の忠告を話半分に聞き流し、キリのいいところで通話を終える。
そのまま携帯を操作して、データフォルダに保存されている写真の中から、一枚を選び出し画面に表示させた。
「赤沢さん……」
そこに映っているのは、休み時間の教室で、腕を枕にして眠りこけている拓郎の姿だった。
実に気持ちよさそうな表情で爆睡を決め込んでいるその様子は、しかしこの世界の基準――白上翔子にとっては、天上におわす神がうたた寝をしているかの如く。
浮世の存在であるとは思えないほどに、綺麗で、可愛くて、美しい(3コンボ)。"春眠暁の眠り彦"の名にふさわしい、可憐な寝顔だった。
「……ゴクリ」
じゅん、と。翔子は自らの下腹部が熱く火照ってきているのを自覚した。ムラムラと湧き上がってくるのは、純な想いとはかけ離れた、爛れた黒い欲望。
実のところ、翔子は先ほど友人と会話をしていた時分。通話の途中で拓郎の話が上がってきた辺りで、スイッチがONになるかの如く性的な興奮を催していた。
早速、そのリビドーを開放するために、翔子はセーラー服のパンツとスカートを脱ぎ捨てて、しっとりと潤う女性器に空いている方の指をあてがう。
躊躇はない。もう高校二年生、身体的には十分に大人として認められていながらも、思春期真っ盛りな女子校生。
「ん。……赤沢、さん……」
意中の男子を思い浮かべながら、翔子は自信が一番気持ちいいと感じる場所を、細い指でまさぐる。
普段は嫌悪する自分のか
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