35*逆鱗に触れたようだ
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いや、半分くらいなら出来た気もするが、後ろからエリザの声で聞こえた『意気地無し』という言葉は空耳ではないだろう。
えーえーそうですよ。
よけた時点でもはやウルウルし始める彼女に『ヤンデレ自重しなさい』なんて言う根性自分にはないですよ。
いくらでも罵るがいいわ。
とか考えながらもしっかりいつでも身を護れるようにしておくのは忘れない。
なにせ相手はヤンデレだ、いつこの前みたくなるかわかったもんじゃない。
エリザに至ってはもはや自分から一番離れた所まで逃避している始末だ。
と、ここでシルバちゃんが右足から一歩近付いてきて、それを見た自分は少しビビりながらもそこを動かず彼女の動向を伺うように彼女を見る。
だが、攻撃がくるかと思っていた自分の予想は、次の彼女の発言で間違いだという事に気付かされた。
「……やだ…」
ん?
「いやだいやだいやだいやだいやだ!離れたくないよ!何でもしますから!お願いですから捨てないで!そんな眼で見ないで!悪い事したなら謝るから!どんな罰でも受けますから!だから私を捨てないで!あなたがいなくちゃ私…わたし……やだ……いやだあぁぁぁぁ!!」
そう一気に叫びながら彼女は自分の足にしがみつき、号泣しながら縋り付いてきた。
おもいっきり引っ張ったりしてるので、ガックンガックンと視界が揺れる。
……何があった。
いや、いつかはこんな感じになるのは覚悟していたが、いくらなんでも早過ぎる。
一体なぜ……。
「し、シルバちゃん落ち着いて!何でそんないきなり……」
「ふぇっ……えぐっ……ぜ、ぜんぜいがづめたぐで……おがあざまだぢのおはなじで……ぎらわれで……ぐずっ…やだ…なんで…もじまずがら……いっじょに、いざぜでくだざい……おねがいでずがら……」
つまり昨日の話で聞いた王妃様達の状況と今のシルバちゃんの状況を重ねてしまった訳ね。
なんとまぁ……どうやって?
でもこれはある意味チャンスじゃないか?
自分は彼女の手をとり、膝をついてしゃがみシルバちゃんと目線の高さを同じにする。
そして涙でくしゃくしゃになった彼女の頬へと右手をあて、なるべく優しい口調でこうのべた。
「わかった、大丈夫だよ。君を捨てるなんて事自分はしない。ただもうちょっと甘えるにしても周りを見て、状況を考えてやってくれると嬉しいな。今みたいに仕事をしている時とかね。出来るかい?」
顔から火が出るくらい……てか核爆発が起きるくらい恥ずかしかった。
もう絶対顔真っ赤だよ。
そしてエリザ、なんだその口笛は。
あとで覚えてろよ。
自分が言い終わると、シルバちゃんはなにか光を見つけたような眼で自分を見据え、まだ鳴咽のおさまらない口調で静かに口を開いた。
「ひく…ぞ
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