暁 〜小説投稿サイト〜
IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
第一巻
【第三十話】
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
――第一グラウンド――


 家に戻ったあの日から時は流れ、既に四月の下旬。

 遅咲きの桜も、その花びらを全て散らせ、葉桜になった頃――。

 俺たちIS学園の生徒は織斑先生の授業を受けていた。


「ではこれよりISの基本的飛行操縦を実践してもらう。 有坂、織斑、オルコット。 試しに飛んでみせろ」

「……………」


 ――織斑先生も無茶を言う……俺が飛べない事を知ってる筈なのに。


「早くしろ。 熟練したIS操縦者は展開まで一秒とかからないぞ」

「り、了解!」


 織斑先生にせかされ、俺たちは意識を集中し始める。

 ISは一度フィッティングすると、ずっと操縦者の体にアクセサリーの形状で待機しているのが特徴だ。

 セシリアは左耳のイヤーカフス、織斑は右腕のガントレット。

 そして俺は首の黒いチョーカーだ……。


「有坂、織斑、集中しろ」


 ――集中してはいるんだけど、なかなか慣れないんだよな……。

 自然体で――眼を閉じ、息を吸い込んでは吐き出す――そして。


「村く――」


 そう言葉を口にすると、織斑先生の出席簿が俺の頭に一撃を与えた。


「いてぇっ!?」

「有坂! いつも叫ぶなと言っているだろう!!」


 叩かれて、頭を擦っていると、クスクスとクラスメイトの笑い声が聞こえてきた。


「す、すみません…」


 頭を擦りながら、俺は再度集中するため、眼を閉じ――。

 そして、眼を開くと同時に心の中で自分のISの名を――『村雲・弍式』――その名を呼んだ。

 その一瞬で、首のチョーカーから光を放ち、全身に薄い膜が広がっていくのを感じる。

 俺の全身から光の粒子が解放され、それが溢れていった。

 そして、その光が再集結するように全身にまとまると、IS本体として形成される。

 各種センサーが意識に接続されると、視界から見える世界の解像度が上がった。

 例えるなら急に視力が良くなった感じ――下手な例えだが。

 そして、俺の体はIS『村雲・弍式』を装備した状態で地面を立っていた。

 織斑、そしてセシリアも共にIS『白式』、『ブルー・ティアーズ』をその身に纏っていた。

 俺と違う点は、二人は浮遊し、俺は地に足をつけている。

 そしてセシリアのISを見ると、破壊した自律機動兵器は完全に修復が終わっていた。


「よし、飛べ」


 織斑先生に言われてからのセシリアの行動は早かった。

 急上昇し、既に遥か上空で静止していた。

 織斑も遅れて後に続き、そして俺は――。


「有坂、何をやっている!?」

「いや、飛べない俺には――」
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ