第74話 =突きつけられた現実=
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ら違った。
和人は小さい頃、両親が亡くなってしまい叔母夫婦に引き取られ今まで育ってきた。この事実に気付いたから遠ざけていた、と直葉は言っていたが和人が言うには人との距離感がわからなくなった…とのことらしい。そのせいで翠さんや和人の父親に当たる峰高さんが冷たく接したか、というとそうでもなく変わらず愛してくれたからショックというのは受けなかったらしいが…。それでも和人の心に根強く芽生えたのは相対した人に対して生ずる『この人は一体誰なのか』という小さな…でも考え直すと大きな疑問だ。
この疑問が和人に壁を作ってしまったらしくネットゲームへ向かわせた1つの理由かもしれないと、小さく笑いながら本人は言っていた。
その理由はネットゲームで活動する人間は全員「アバターには異なる内面が生じて当然」という大前提があったから。実際に名前の時点で偽っているし性別すら偽るプレイヤーもいる。だから和人はどんどん進んでいった。やがて2年という年月の間幽閉されることになるあのデスゲームへ。
「……でもあのゲームで俺は…気付かされたんだ」
「どっちも同じだって?」
俺の言葉に迷い無く頷く和人。確かに現実世界と仮想世界、何が違うかといえばログアウトできるか出来ないかという1つのみ。でもソードアートオンラインは違う。ログアウトという違う一点が無くなった世界…つまりモンスターとか関係なくあの世界は現実世界そのものだった。そうと気付いた和人はようやく10歳からの疑問の虚しさを悟ったらしく、それと同時に他人に出来ることにも気付いた。信じ、受け入れること…それが自分の認識する誰かを本当のその人にすることってことに。
「信じて受け入れる…か……俺もあの世界のおかげで出来たのかな…」
「……?」
「いや…まぁ……俺もあの世界があったからそれが自然に出来たのかな〜って…」
信じて受け入れるにはこちらにものすごい勇気が必要だ。もしかしたら…という疑問を払う必要があるから。身近な人だと信じて受け入れるのは簡単だがその身近な人と何か問題を起こしてしまうと信じるという前に立ちふさがる壁は他人と比べ相当大きなものになってしまう。
「…『恐れよ。されど手を伸ばせ。そこに希望を掴み取らん』…か…」
「何の言葉だよ、それ」
「アハハ……これもテイルズのなんだけど向こうで学んだことと一緒かなって…」
他人と…そして一度関係が崩れた人ともう一度関係を持とうとするのに怖いと思うのはしょうがない。大事なのはその気持ちを受け入れ手を伸ばす事。
「…確かにな…言葉で足りないときには手を伸ばす……これも向こうで知ったことだしな」
「なら…その伝えたいことを今から伝えに行きますか」
「あぁ……あのさ、陸也…。スグに伝言を頼めないか?」
「…別にい
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