第74話 =突きつけられた現実=
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ログアウトした。
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「あたしとお兄ちゃんは、ほんとの兄妹じゃない。あたしはそのことを、もう2年前から知ってるの!!」
この言葉が現実に戻ってきて最初に聞いた言葉だった。
恐らくこれはあの2人とその親しか知っちゃならないような…何度も繰り返すけど俺みたいな部外者が聞いちゃならない内容だったと思う。だが、聞いてしまったからには最後まで聴かなきゃならないと思い、その場から動かず…というか動けずに話に耳を傾けた。
「お兄ちゃんが剣道辞めて、あたしを避けるようになったのは、ずっと昔からそれを知ってたからなんでしょ?あたしがほんとの妹じゃないからって遠ざけてたんでしょ!?なら…なら、なんで今更優しくするのよ!!」
いつもの直葉からは想像できないくらい、言葉が止まることなく流れていく。彼女自身、剣道をやっているおかげかこうして感情をあらわにすることは少なかった記憶があるがいまは完全に感情が支配している。
「あたし…お兄ちゃんがSAOから戻って来てくれて嬉しかった…。小さい頃みたいに仲よくしてくれて、すごく嬉しかった。ようやくあたしを見てくれたって…。そう思った」
「…でも、こんなことなら冷たくされたままのほうがよかった!!それなら、お兄ちゃんを好きだって気付くことも……お兄ちゃんの連れてきた陸也に不思議な感情を抱くことも……あの世界をもう1つの現実だって思うことも………キリト君を好きになることも無かったのに!!」
すさまじい絶叫の後、嗚咽とともに息のする音も聞こえる。
「…ごめんな」
「……もう放っておいて」
その言葉を最後に乱暴にドアを閉める音が響いて、いつも以上に静かな空気がこの場を支配する。この状況でやっと体の自由が戻ったかのようにゆっくりとドアを開けて廊下に出ると目に入ったのは直葉の部屋のドアを背もたれに座り込んでこちらを見ている数との姿だった。
「……聞いてた…のか…?」
「…うん…そのことは、下いって話そう…」
「……あぁ」
頷いたのを確認して和人の手をとり静かに立たせ、ゆっくりと音を立てないように階段へとむかった。そしてリビングへ入って椅子に腰掛けて口を開く。
「…その……盗み聞きみたいなことして…ごめん」
「いや、遅かれ早かれ知ることにはなったと思う……」
「あの、さ…今聞くことじゃないと思うけど……」
「……いい機会…っていうと駄目だけど…多分、これも言わなきゃいけないことだから言う…だから陸也も知っててくれないか」
「わかった……」
―――――
和人の口から話されたものは今ここにいる桐ヶ谷和人と上にいる桐ヶ谷直葉は実の兄妹じゃないということだ。俺はなんの疑いも無くこの2人を兄妹だと思ってきたがどうや
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