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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
第一巻
【第二十九話】
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手な解釈。

 本人たちの本心は、今や知るすべが無いのでわからないが――。

「そぅ……だと良いですわね…。 ……ぅっ……ぅっ…」


 俺の首筋に、水滴が落ちてきたので雨かと思い、空を見上げたがそんなことはなく――おぶっているセシリアの涙だと気づいた。


「わ、悪い! セシリアの傷に塩を塗り込むような真似をして――」

「い、いえっ……。 な、何だか、ヒルトさん……の言葉で……少し……気持ちが楽になった気がします。 ……ぅっ…ひっく…お、降ろして…ください…っ…」


 ――涙声になったセシリアを、その場で降ろすと――必死で涙を拭おうとしていた。


「……我慢しなくていいんじゃないかな、セシリア」

「ぅっ……ひっく……ひっく……」


 まだ顔を両手で覆い、せめて泣き顔は見せないようにしているセシリアを見ながら、俺は言葉を続ける――。


「……我慢するよりは、思いっきり泣いた方がすっきりするぞ?」

「ひっく……ひ、ヒル……トさん……っ」


 ――そう伝えるや、セシリアは此方に体を預けるように、俺の服の襟元を掴み、胸の中で泣いた――。


「お父様……っ…、お母様ぁっ……!!」


 今まで溜まっていた想いを、吐き捨てるように泣くセシリアを、俺は頭を優しく撫でることしか出来なかった。

 元々は、俺が聞いたのが原因なのだが――。

 でも――実際俺と同い年で、両親を亡くすというのは、心に深い影を覆うと思う。

 それに、セシリアはそう言った話が出来る人は少ないように見える。

 両親の遺産を相続した筈だろうし、貴族と言っていたから――金に群がる人間も多かった筈だろう……。

 ――これも、俺の憶測でしかないから……わからないがな……。

 胸の中で泣いているセシリアを優しく撫でるように、落ち着かせるように頭を撫でるしか――今の俺には出来なかった。


――五分後――


 少し落ち着いたのか、もうセシリアの眼から涙は流れていなかった。


「み、みっともない所をヒルトさんに見せてしまいましたわね……」


 泣いたことによる気恥ずかしさからか、セシリアの頬が赤く染まっている。

 ……彼女の出会った当初の気丈な振る舞いも、もしかすると父親や母親を亡くした事を忘れる為だったのかもしれない。

 既に陽は落ち、街灯の明かりと、夜空の星の光だけが輝いていた。


「いやいや、俺のせいもあったからな。 悪いな、セシリア……」

「いえ……。 わたくしと致しましてもヒルトさんに話せたので……何だかすっきり致しました」


 笑顔で微笑むセシリア、表情を見てもある程度吹っ切れたのかもしれない。

 ――てか、遅
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