第五十四話
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ダーナの被害は先日の比では無く、多くの市民が被災していた。
火災がそう酷くなかったと言っても、隕石召喚により破壊された家屋の倒壊や破損部分の飛礫、それによって引き起こされた混乱による二次三次の災害、それを鎮める為の衛兵や守備隊は先日の戦で大きく損害を出しており、また城壁外の敵軍にも備えねばならなかったのも被害の拡大に拍車をかけた。
市長を始め有力者は行方不明、もしくは遺体が確認された。
外を囲んでいた軍勢は乗り込んで戦う為に来ていたと言うよりはむしろ、脱出しようとする市民を閉じ込めるためだったのでは無いかと証言の結果そう思った。
ここから逃がさず、皆殺しにする算段だったのだろうか?
とりあえずは輜重隊の物資を各地の炊き出し所に配り、泊る所の無い人々のために瓦礫を片づけ、こちらも軍用品である天幕を張り、マナナン王にはイザーク本国へ救援隊の要請を願い出た。
「市民のみなさん! 先日、リボー軍に襲われた際に、お仲間と共に街を守ってくれたお方です!」
「……ダーナの方々、ご安心ください。 わたしはレンスターのミュアハ王子です。 あなた方を襲ったグランベルでもリボーの者でもありません。 また、リボー族長の過ちを詫びに来られたイザークのマナナン王は救援の物資を速やかにこちらへ提供してくださると仰せです!」
天幕を幾つも設営した街の広場で演説を行った。
それというのも、生き残っていた市長の家族から市民を元気づけるために、街の外から救援が来ていると知らせて欲しいと依頼されたからだ。
市長の家族や一部の有力者、それに子供などの弱者の一部は詰所の地下に掘っていた地下道に匿われていた。
彼らからの聞き取り調査によるとアイーダ将軍らは最初、救援に来たという触れ込みでダーナを訪れ、友邦グランベルからの使者に安心した市長らを城外に設営した自らの陣地に連れ出し、すぐさま攻撃を開始した。
城門や城壁は見向きもせず、街の中へ隕石召喚を行うアイーダ将軍の部隊は打って出てきた守備隊の残兵や義勇兵を散々に打ち破り、レイミア隊の残留部隊は弓箭隊を中心にしていたが、隕石召喚を操る魔道士周辺には重騎士が取り囲み、狙撃すら叶わない状況だったという。
隕石が降り注ぎ、火災や家屋の倒壊が引き起こされたそんな状況に恐慌状態になった市民の一部は城門から逃げ出そうとしたが、そこを狙ったかのように敵部隊は火炎魔法を次々に放ち、凄惨な地獄絵図を作り上げたそうだ。
隕石召喚の魔法は術者の力量で威力は大幅に変わるとはいえ、堅固な城壁、城門を破壊するのはよほどの局所集中でもしない限り難しい。
一般の家屋などに被害を与えるのが目的ならばその限りでは無いので、敵地を焦
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