第4話 助っ人は二人の転生者だそうですよ?
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、其処から垣間見える内部には、ただならぬ闇が……。
「ここは境界線。街道と街道が重なるトコロに植えられた木の根元。其処に造られた、街道を護る祠が何者かに破壊されている」
猫に相応しい身軽さで美月の肩に跳び移り、高所から闇を発して居るその祠の残骸を見つめるタマ。
その表情は猫に有るまじき不敵な表情。
「どうや、美月にハク。あんたら二人なら、ここの危険度は判るはずや」
そう。確かに、タマは根津魅の害に対処していると言って居た。更に、ハクが召喚された際の審神者を務める事が出来る存在。
尚、審神者とは召喚に失敗して危険な神が召喚された場合、巫女の代わりにその神の荒魂を受ける役割を示す者。その役割が出来る存在が、単なる化け猫レベルの存在だとは思えない。
おそらく、名の有る猫神の眷属。もしくは、猫族に繋がる神の眷属で有る可能性が高い。
但し……。
「それでも、このまま、この場所を放置する訳にも行きませんよね」
現在の状況が分かっているはずなのに、まったく恐れる雰囲気のないハクの台詞。
それに、彼女の言葉は真実。西の街道よりやって来る死の魔風を封じない限り、コミュニティの復活は有り得ない。
そして……。
ひとつ深く呼吸をした瞬間、
しゃらん。
彼女が動く度に微かに響く鈴の音が、乾にして滅に支配された世界を、聖にして清の空間へと変貌させた。
そう。神道が支配する禊の空間。
そして、
「いわゆる おきつかがみ へつかがみ やつかのつるぎ」
ゆっくりと彼女の口より流れ出す祝詞。
「いくたま まるがえしのたま たるたま みちかえしのたま」
その内側に凛然とした気を籠めて、その一言、一言が、まるで鋭い刃の如く、世界を切り取って行く。
「おろちのひれ はちのひれ くさぐさもののひれ」
しゃらん。
再び、鈴の音が微かに響く。その瞬間!
破壊され、内部に底知れぬ闇を湛えた空間を垣間見せていた祠の残骸から、仄かな光が発せられ……。
但し、その光がもたらす物は、闇と邪気。
大地を覆う乾いた砂は、その感覚のみを残し、すべて闇へと覆われ、
その闇を踏みしめる足元より這い登って来る瘴気はあまりにも濃厚で有った。
そして、その次の瞬間……。
――――――世界が裏返った。
「洞窟?」
我知らず、美月はそう呟く。
いや、しかし、洞窟と表現するよりは、二人と一匹の前に姿を顕わしたのは、複数の巨岩を打ち合わせて出来た、人一人がようやく通る事が出来る程度の隙間、と表現した方が良い代物。
そして、その重なり有った巨岩同士が造り出す異世界への入り口は
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