第4話 助っ人は二人の転生者だそうですよ?
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事の出来なかった拳の一撃一撃を捉える事が出来て居たのだ。
但し、あれは、少年に取っては、あくまでも軽い鍛錬で有る事も確実に理解している少女では有った。
「未だ未だだな。小宇宙を高めるのに、少し時間が掛かり過ぎて居る」
顔に浮かぶ汗をぬぐい、首にタオルを掛けた一誠が、金ウサギに対してそう答えた。
もっとも、聖闘士として、本当にコスモを燃やす事が出来るのは戦闘時だけ。それ以外の時。それも、呼吸法のみで一気に最高レベルにまで高められる訳がない事は、他ならぬ一誠自身が知って居る事では有ったのだが。
その刹那。
周囲に異質な気が満ちた。聖闘士の発するコスモと似てはいる。しかし、これは少し違う。
但し、悪意は感じない。悪意は感じないのだが……。
ゆっくりと、物理法則をやや無視した形で、上空より降りて来る羊皮紙。いや、これは、羊皮紙に見えるが、羊皮紙などではなく……。
「ギアスロール?」
一誠ではなく、金ウサギの方が、そう驚いたように声を上げた。
そう、それは明らかにギアスロール。但し、今まで一誠が手にして来たギアスロールとは、明らかに現れ方が異質。
ゆっくりと蒼穹と星々の瞬き。そして、月の女神に祝福された世界から地上に降りて来たギアスロールが、一誠の手の中に納まる。
そこに記載されている内容とは……。
「ゲーム名『扉を閉じろ』。
場所 黄泉比良坂
主催者 李伯陽
勝利条件 世界に禍津霊が溢れ出す前に、千引きの大岩を閉じる」
☆★☆★☆
西から吹き寄せる魔風が、乾いた大地の上を西部劇などでお馴染みの回転草と言う草の塊を、コロコロと転がして行く。
そう。風が巻き上げる乾いた砂や、ホコリなどに交じって、かさかさと言う音を立てながら、それでも己の子孫を残す為に、周囲に種子をばら撒きながら……。
成るほど。これが、古い書物や、詩文などに語られる……。
「あぁ、あれが『転蓬』と言う物なのですね」
本当に、珍しい物を見たと言うように、ハクはそう独り言を呟いた。
そして、その言葉の中に含まれるのは、明らかに喜び。知識のみで知って居た物を実際に自らの瞳で確認出来た事に対する喜び。
もっとも、まるで、童女が珍しい花が咲いているトコロを見つけたかのような雰囲気で、乾燥した大地を転がる回転草を見つけて喜ぶのは……。
確かに、彼女が日本出身の人間ならば、そんな物が転がっている状況に出くわす事は早々ないとは思うのですが。
但し……。
「流転して恒の処無し
誰か吾が苦難を知らなんや」
ハクの傍を、共に西に向かって進み続ける美月が、かなり哀しげな
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