第4話 助っ人は二人の転生者だそうですよ?
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り触れたデニムのジーンズ。但し、夕陽に晒されている肩から腕に繋がるラインに付いた筋肉が。そして、軽く握られた拳の形から、少年がただの少年ではない事が窺い知れた。
しばらく、そうやって雲の流れを目で追っていた少年が、やがて、軽く腕を回した後、柔軟体操を開始した。
そう。未だ身体の整っていない段階で、無茶な訓練を施しても意味はない。先ずは、軽く筋肉をほぐし……。
やがて、完全に全身の筋肉をほぐし終わった少年が、ゆっくりと大きな息を吐き出す。
たったそれだけの事で、その横顔に浮かぶ少年の部分が、漢へと変わって居た。
そして、
両足を軽く肩幅程度に開き、腕は何かの形をなぞるかのようなゆっくりとした動きを繰り返す。
静かに息を吸い、そして吐き出す。
その繰り返し。
瞳を閉じ、自らの中から高まりつつ有る何かを感じるかのように……。
既に、世界は紅から蒼が支配する世界へとその相を移し、少年を取り巻く闇が僅かに上気した身体を冷やす。
刹那。
鋭い呼気と共に、少年の腕が僅かに夜陰に走り、白き複数の断線が世界を貫いていた。
しかし! そう、しかし!
次の瞬間には、少年の腕は最初の位置から数ミリたりとも動いた痕跡を発見する事など出来ず、最初と同じ位置に存在する彼の両腕。
そう。鍛え抜かれたスピードと、的確な動きが産み出す神速の攻撃。
そして其処に、特殊な気を上乗せする事による破壊力の強化が重なる。
その拳は空を裂き、その蹴りは大地を割ると伝承で伝えられる戦士。知恵の女神アテナを護る闘士の魂を継ぐ者。それが、少年の正体で有った。
「鍛錬は終わりましたか?」
躊躇いがちに掛けられる若い女性の声。
但し、少年に取って、その声を聞くよりも早く、彼女の発する雰囲気を感じる事に因って、既に接近して来た事は気付いて居た。
ゆっくりと振り返った少年の瞳に、蒼に支配された世界の中心に、彼女の白い顔が茫として浮かび上がる。
腰まで届く長き金の髪の毛は月光を紡ぎ上げた物の如き輝きを示し、彼女の同族と同じ紅の瞳。但し、月の淡い光の下で輝く金の彩りが、彼女もまた、戦いの世界に身を置く者だと言う事の証明で有った。
そして、これだけは、普通の人属とは明らかに違う金の髪に彩られた長い耳が、彼女の正体を如実に物語って居る。
それは……。
「おう、サンキューな、金ウサギ」
そう軽い感謝の言葉を口にしながら、彼女の差し出して来たタオルを受け取り、身体に浮かぶ汗を拭き取る少年。転生者兵藤一誠。
「相変わらず、凄い鍛錬ですね」
そう問い掛けて来る金ウサギと呼び掛けられた少女。
そう。彼女の瞳には、先ほどの白き光の断線としか捉える
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