第4話 助っ人は二人の転生者だそうですよ?
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白ウサギは、ウサギと言う種族に相応しい赤い瞳を、ギアスロールから紡の方へと移動させ、耳をやや自慢げにピョコピョコと動かしながら、そう答えた。
雰囲気は、先ほど、彼の背後に現れた時と同じ、平静そのもの雰囲気で。
但し、その答えから類推出来る答えが違った。彼女もまた、この妙な胸騒ぎのような感覚を持っていた、……そう言う事だと、その時、紡には感じられたのだ。
故に、周囲を警戒し、普段と違う事態をいち早く察しようとしていた。そして、その時に紡が発した足音や、呟いた独り言に彼女が素早く対応出来たと言う事。
しかし、つくづく、ウサギの素敵耳と言うのは、使い様によっては便利な能力と言う事は確実か……。
そう、結論付けた紡が、再び、紅白ウサギから、彼女の手に持つギアスロールの方へと、その視線を移す。
確かに、自らの部屋に置いて有ったのは妙な話だが、それでも、それ以外は何の変哲もない、今まで目にして来た羊皮紙をモチーフとしたようなギアスロールで有る事は間違いない。
「それで、そのギアスロールには、一体、何と書いて有るんだ?」
それならば、先ずは内容を確認してから、判断する方が良い。そう考えた紡が、紅白ウサギに対して、そう問い掛ける。
但し、もしかすると、内容を読み上げた瞬間、普通のギアスロールが何か別の物に変質する可能性を考慮して、直ぐに対処出来るように身体を整えながら。
そう。この世界の魔王と言う存在の正体が不明な以上、ある程度の警戒を怠る訳には行かない。
「え〜と、ですね」
紅白ウサギが軽くギアスロールを一瞥した後に、
「これは、ゲームへのお誘いですね。ゲーム名は『扉を閉じろ』。場所は、黄泉比良坂。主催者は李伯陽。……と成っていますね」
……と、あまり緊張した雰囲気もなく答えた。
確かに、内容に関しては何の問題もない普通の内容。まして、ギアスロールを読んだだけで強制参加させられる類の危険なゲームでもない。
それならば、別に参加しても良い内容。そう考えた紡だったが、その時の紅白ウサギが、彼の考えとはまったく正反対の答えを口にしたのだった。
☆★☆★☆
小さなコミュニティの北に広がる森。
ここが、彼に取って、この箱庭世界に召喚されてからの、新しい鍛錬の場で有った。
両腕を頭の上に伸ばして、思いっきり背伸びをする。未だ紅い色彩の残った空の下、微かな陰影を刻むその顔は、青年に成りつつ有る少年のそれ。
そう。紅から蒼に至る狭間の時間に、青年に成り切れていない少年。この時間帯にこそ相応しい登場人物だと言うべきで有ろうか。
身体はそう大きくはない。有り触れた清潔なノースリーブのシャツ。これもまた有
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