ALO編
episode3 四神守2
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んとも胡散臭い経歴ののち、帰ってきてからは長男として道場の跡取りとして修業を欠かさない傍らで片手間……というか、結構ガッツリと不動産業を起こして稼いでいるやり手の経営者でもある(というか、彼の下について働く社員の皆さまが優秀なのだろうが)。そしてそれだけでなく、とにかくこの人、いろんなことに手を出している人だ。俺もその全貌を知っている訳ではないが、それでもその仕事の顔の数は十はくだらない。
それはまあ、今回は置いておくとして。
(どうするか……)
今の申し出、有難いかどうかは微妙だが、俺はきちんと家出先の家まで用意していただいたわけで。流石に俺一人の人脈と経済力では、職はあっても住む所までは準備出来ない。最悪俺一人だったらネカフェ難民でもいいのだが、母さんまで一緒に養っていくのであればそうも言っていられない。
だがここに行ってしまえば、四神守の監視の目が届くことには想像に難くない。というか心情的に、追い出されておきながらそれはどうなんだ、と思ってしまう。家出はするけど泊まるホテルは準備しているよー、なんてどこのピエロだよ。
……いや、まあ、みみっちいプライドか。
「……爺さん……宗源さんは、このことを?」
「いいや? これはボクの独断だよ。いやあ、それにしてもあれほど追い詰められたオヤジを見るのはボクも久しぶり…二十年ぶりかなあ? だからこの申し出は、その見物料ってコトで。もちょっと言うなら、君の戦い方に、武の道を志す者としてふっか〜い感銘を受けてね。『あの世界』での君の強さを、ボクも見てみたい」
本当に、どこまで本気なのかさっぱり分からない。まあ、確かにこのままでは困るのも事実だ。この際俺のプライドなんてどうでもいい。頭を下げて頼むと伯父は「んじゃあ、手続きはしておくよ〜」といってヒラヒラと手を振って去っていく。
……前に、ひょいっと振りかえって。
「それにしても君の戦いは、君の親父さんにソックリだねえ? 君は、武器は使わないのかい?」
「……『向こう』で、身一つで戦ってきたんで」
「おや、そうかい? ま、いいや。んじゃね〜」
今度こそ身を翻して、廊下をギシギシと言わせながら去っていった。
その歩き方がまた絵に描いたようなガニ股で、威厳というものを全く感じさせない。あれであの爺さんの跡取りが務まるのか? とも思うが、俺の知ったことではないか。勘当されたばっかりだしな。遠い目でそんなことを考えていると、
「御主人様。もう出歩かれて平気なのでしょうか」
「うぉっ、牡丹さん!?」
再び背後から、気配なく声を駆けられて俺は奇声をあげてしまった。
◆
「…………」
「えっ、と……」
「…………」
沈黙というも
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