ALO編
episode3 四神守
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しかし。
「ふぅん……はぁ……」
「え、な、なんすか?」
当たり前の質問をしたつもりだったのだが、蒼夜さんの対応は当たり前の「気分は悪くないですか?」でも「痛みは治まりましたか」でもなく、俺をじろりと見ただけだった。爺さんのものと同じ感触を伴うその視線が、俺を値踏みするように見据える。
「バカなのね、アンタは」
そう前置きして、溜め息を一つ。
「アンタはなにもわかっちゃいないわね。アンタに『痛みはないですか』って聞いてもその異常感覚じゃあ『ない』ってしか言わないでしょ? そんな意味の無いことをするほど私は暇じゃないのよ。それに『痛み』ってのは重要な刺激のサインなのよ。普通の人間はそれで自分の体の異常を自覚する。ただしアンタはそれができない。……普通なら激痛を伴う異常をアンタは自覚できない、自覚したときには手遅れ、ってのが十分にあり得る。アンタはその危機感が薄すぎる」
心底バカにした目のまま、俺を見据えて、蒼夜さんは続ける。
「今回だって、本当なら『痛みはないですか』で終わりなのよ。……わからないなら言ってやるけど、アンタが寝てる間に全部身体診察で診てるわけ。問診なら一瞬だってのに、ったく……この美しいお姉さまの休息を何だと思ってるわけ……アンタもあのいけ好かない付人も……皺が増えたら切り刻んでやるわよ……」
「は、はあ……す、スイマセン……じゃ、これで」
「はいはい、二度と来んじゃないわよクソガキ」
最後はなんだか愚痴になっていたが、とりあえず、謝っておく。
こういうときは素早く頭を下げてさっさと撤退するに限る。
これ以上何か言われる前に逃走を決め込んで早々に立ち去ろう。
◆
「はあ……」
無駄に広い廊下を歩きながら頭を掻き、溜め息をつく。
治療を受けて寝ていたはずなのに、疲れが全く取れた気がしないのはなぜだろう。
まあ、それは置いておくとして。
「まったく……」
なんなんだよ、この家。
どこでだれが聞いているのかわからないために口にも顔にも出さないが、それでも心の中では頭を抱えているのだ。普通ではない。いまどきお手伝いさんなる人間が存在する(それも一人につき最低一人、蒼夜さんや爺さんにはもっと多数ついてやがる)のもあるが、それでなくても異常な人間が多すぎる。いったいどこでどんなつながりがあるのか、想像もつかない。
爺さんや蒼夜さんがSAOに囚われた俺を無理矢理に自病院に引き取ってほかのプレイヤーよりもはるかに高度な医療を受けさせられていたのがいい例だろう。相当に世間を騒がせたあの事件、政府も病院もそれに見合うだけの厳戒態勢を敷いたのは想像に難くない。それをコネかツテかで捻じ曲げて、俺の体を確保
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