反転した世界にて4
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福じゃないよ、僕。……っていうか、普通にキモがられるビジョンしか思い浮かばないかな……」
我ながら、うんざりするほどのネガティブ思考。
長年培ってきたマイナス指向な考え方が、こびりついてしまっている。
「それなんだよな。俺の知る限り、拓郎を邪険にできるような女子なんて想像がつかないんだよ」
「むしろ、僕に良くしてくれる女子が存在するなんて、今まで想像しかできなかったよ」
――白上さんと出会うまでは。
まるで僕の妄想世界の住人が、そのまま飛び出してきたかのような女の子だ。しかし、白上さんは現実に居る。その豊満な胸の内までは、想像の及ぶ範疇にはない。
あの女神のような笑顔の裏側で何を考えているのか。考えれば考えるほど、やっぱりネガティブな想像しか浮かんでこない。
「うーん。なんだかな。男子が陰口叩くのはまだ理解できるとして。女子までもってのは想像がつかないよ」
「なにを根拠に」
「根拠もなにも、普通に考えて、だよ。外河高校のアイドルランク第二位『春眠暁の眠り彦』さまに対して、女子が陰口なんてがつぶやいたら、間違いなく親衛隊に粛清されるだろうが」
「ちょっと何を言っているかわからない」
「ん? 親衛隊の話? まあ、拓郎は知らなくても不思議じゃ……」
「それも大いなる疑問点だけど、そうじゃなくて。アイドルランクってなんだよ。第二位とか、センス皆無の二つ名とか。そんな世界の住人じゃないよ、僕」
完全に人違いだろそれ。なんだよ『春眠暁の眠り彦』って。
どんだけ眠いんだよそいつ。一生冬眠してろよ。
「いや、いくら世界が変わったからって、流石に自分の容姿を自覚してないってことはないだろ?」
「自覚はしてるよ! 顔面偏差値20、告白すらしてないのに女子に振られる、大魔法使い候補の筆頭だ!!」
自分で言ってて死にたくなった。
ちなみに、告白してないのに女子に振られたというのは、『赤沢と付き合うくらいならゾウリムシに求婚するわ』という陰口を耳にしてしまったときをカウントしたからだ。
似たようなニュアンスで3回ほど経験がある。死のうかな。
なんて、自殺願望を拗らせている場合ではない。
「いやいや、ちょっと、ちょっと待てよ。また噛みあわなくなったぞ。一旦、ストップだ」
「そ、そうだね。落ち着こう。クールダウンだ」
荒井くんと僕は同時に、手元のお冷をあおって気を休める。
そしてコップをテーブルに置いて、お互いに一息ついてから。荒井くんは切り出した。
「はぁ、……一回さ、自己紹介してみろよ。ありのままの自分を客観的にさ。謙遜とかなしで。……高慢なのも駄目だ」
「なにそれ……、いや、わ、わかった……ぐ、く……」
「――あ、すみませーん。コーヒーとカフェオレお替りくださ
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