反転した世界にて3
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しても、"なにがどのように狂っているのか"、はっきりさせないと気が済まない。
「さっきから、なにボーっとしてるんだよ。まだ調子悪いのか? だったら、もう一度保健室に――」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
荒井くんとの会話で、状況がわかるかもしれない。
試してみよう。
「荒井くん荒井くん。"女々しい"って、どう思う?」
「うん? どうって言われても……、好みの話?」
「それでいいよ」
「女々しい女も悪くはないけど、あんまり女らしすぎるのも俺は嫌かな。そりゃただ雄々しいだけってよりはマシだけど」
「ふーん」
話題を間違えただろうか。
ちょっとなにを言っているのかわからなかった。
「荒井くん荒井くん、"家庭的な女性"って、どう思う?」
「んん? まあ、俺たち男からしたら、そういう女性も惹かれなくはないけれど。でもやっぱり女は働いてこそじゃないかな」
「ふーん」
核心こそ持てないが、ほとんど黒に近い灰色だ。
よし、最後に一押し。
「荒井くん荒井くん、"男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く"って慣用句について、どう思う?」
「それを言うなら拓郎、"女やもめに蛆がわき〜"だろ、それじゃあべこべだ」
「ふーん」
決まりだ。今の台詞で確信した。
なにがあったのか。なにがきっかけか。
それはわからないけれど、今朝からこの学校において、"男女の価値観"が入れ替わってしまっている。
……価値観が変わったのはわかったけれど、担任や体育教師、英語、物理担当の先生まで女の人になっていたのは、これどういうことなのか?
「荒井くん荒井くん、実は女の子だったりしない?」
「……ホント、今日はどうしたんだよ? 頭でも打ったんじゃないのか?」
罵倒されるかと思ったけど、真顔で心配されてしまった。迂闊だ。ちょっと突っ込み過ぎたか。
「確かに頭は打ったけど……」
朝、目が覚めたら男女の価値観が入れ替わっていた。
これなんて世にも奇○な物語? 青い耳なしタヌキに頼んで宇宙旅行をした覚えもなければ、無人電車に間違えて乗り込んだ記憶もない。
……これは本気で病院に行ったほうがいいかもしれない。外科じゃなくて内科、しかも心の病気を疑われて、窓のない白い部屋に軟禁されてしまいそうだけど。
「おーい。赤沢さんたち、何の話してるのー?」
「し、白上さん……」
胸元とポニーテールをぶらんぶらんと揺らしながら、白上さんがこちらに手を振りながら近づいてきた。
学食の購買帰りなのだろう。手から下げているビニール袋から、パンや飲み物が見え隠れしている。
「男同士の会話に割り込んでくるとか、どういう神経してるんだよ白上は……」
なんか、荒井
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