反転した世界にて3
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に振り回し始めた。
「あーあー、あんなにはしゃいで。子供勝手の。なぁ、拓郎。……拓郎?」
「普通とは、……常識が……、揺らぐ……、揺れる……おっぱい」
「た、たくろぉおお―――ッ!?」
耳元で絶叫する荒井くんの声を聞きながら、そしてたった今目撃した白上さんのあられもない姿をこの目と脳に焼き付けたところで。
僕の意識は、いったん途絶えた。
◇
おかしい。今日は朝から何もかもがおかしい。
時は昼休み。保健室で三、四限目をサボっていた僕を、荒井くんが迎えに来てくれて、そのまま僕の教室で一緒にお弁当を食べることになった。
僕はこの時、荒井くんと朝にそんな約束をしていたことなどすっかり忘れてしまっていて、とても驚いた。
しかも。そんな口約束を荒井くんが覚えていて、しかも律儀に守ってくれるなんて――と、再度驚愕した。
――おかしいのは、そんな荒井くんの奇行だけではない。だけではない、というか、そんなのは序の口に過ぎない。
「大丈夫? 肩、貸そうか?」
「いや、お構いなく」
妙に優しい荒井くんも、やはり異変の一部なのだろうか。
今日という一日の異常。
僕個人に対するいじめなんて範疇では、到底収まらないような事態が起こっている気がする。
女の人に痴漢されたり。
男子なのにブラジャーの装着を強要されたり。女子が平気な顔してノーブラで体育の授業を受けていたり、平気でトップレスをお披露目したり……。思い出したらまた鼻血が出そうだ。
「――退け退けぇーい!」
ドドドドド―ッっと、怒涛の勢いで廊下を駆ける女子十名ほどとすれ違う。向かう先は、この方向ならばやはり学食だろうか。
続いて、お喋りしながらゆっくりと歩く男子数名ともすれ違った。
教室に戻ると、男子のほとんどがそれぞれの席で、或いは友人同士で固まって、自前のお弁当を机に広げている。
女子も数人、数えられる程度には弁当持参の者たちがいた。
けれど、ここから見える女子のお行儀が非常に悪い。別に昼飯をどのように食べようと文句なんかないけれど、しかし机の上に腰を下ろして、片足を椅子に乗せた体制でおにぎりを頬張りながら雑談するというのは、いかがなものか。
パンツが丸見えなのだけれど。
――イかれてるのは僕の頭なのか、世界の方なのか……、なんてことを真面目に考えようとしている時点で、すでに病院のお世話になった方が良いくらいには思考が悪い方に熟成されてきている気がする。
しかし納得できない。昨日までは普通だったのだ。
まるで、"男女の立場"とか、"男女の役割"が、まるっとそのまま入れ替わってしまっているような、異常現象。
僕の頭が可哀相なことになっているのだとして。仮に例えそうだと
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