反転した世界にて3
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「なん……だと……っ?」
汗でピッチピチに張り付いた体操服。その生地を一枚隔ててすぐ裏側にて、大きく張り出したバストの上に一つずつ。
合計二つの不自然な出っ張りがその存在を自己主張していたのだ。
――いやいやいや。それこそあり得ない。
「だけど……」
よく見れば、それはポニーテール美少女だけではない。
ここから見る限り、ちょっと胸の大きな女の子の上半身であれば、みんな"それ"を視認することができた。あ、でも肉だるま、テメーは要らねえよ。
不自然に揺れまくる胸、汗で体操着にくっ付いて、その形そのままに表現されている二つ球体と、二つの突起……。ここから導き出されるその解答……。
――つまり、女子のほとんどがブラを着けていないということ。
「こ、これは一体……何がどうなって……」
ただノーブラってだけじゃないんだぞ。
何よりもおかしいのは、女子のほとんどがノーブラなのを当たり前であるかのように振る舞って、普通に体育の授業を受けていること。
これが異常事態でなくてなんだというのか。
「おう拓郎。なんだ、真面目に見学してるな」
「荒井くんは……、サボり?」
「いつものことだって」
「いや、そんなことより。アレを見てくれ、どう思う?」
「アレって……女子? サッカーしてるな、うん」
荒井くんなら。いつもの荒井くんなら、こんなイかれた破廉恥サッカーを目の当たりにして、冷静でいられるはずがない。
全盛期の荒井くんだったら、そのまま女子の方に乱入してボールと間違えておっぱいにドリブルかまして連続ハンドの反則で、レッドカードだ!
しかしそんな僕の期待は外れて、
「あぁ、確かに白上って運動神経だけはいいよな。帰宅部じゃなくて部活やればいいのに」
「そんなじゃなくて、もっと他に見る所あるだろ!?」
「他に……、なに、女子の中に気になる子でもいるの?」
「冗談でもそういうのやめてくれないかな」
「ご、ごめん……」
まあ、なんとなくそんな気はしてたよ。
荒井くんのぱっとしない反応、つまり荒井くんにとって。"この荒井くん"にとって、女子がブラを着けずにサッカーをしていることなんて、当たり前で普通のことだってことだ。
「普通……? 普通って、なんだ? ごくありふれたものであること、それが当たり前であること……。あ、頭がおかしくなりそうだぜ……」
「お、また白上がゴール決めた」
きゃーきゃーわーわーと、歓声が遠くで眺めている僕たちの方にまで届いてくる。
悔しそうな面持ちの肉だるまとは対照的に、屈託ない笑顔を振りまきながらグラウンドの中心を走り回っている白上さん。その高いテンションの赴くままに、彼女は体操着を脱ぎ捨てて、傍か何かのよう
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