第178話
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原まで近づくと、上条はそこで尻餅をついた。
麻生は気怠そうに肩を落としながら、濡れた髪をかき上げる。
衣服は元より、パラシュートの布地が水を吸ったせいで、やたら身体が重たく感じる。
リュックを外そうと手を伸ばそうとして、それよりも早く五和の手が伸びた。
若干悪戦苦闘しながらも、バチン、という大きな音と共に、固定具から解放され、絡みつくパラシュートから逃れる事ができた。
ゆっくりと立ち上がり、上条は状況を確かめる。
陽は高いので今はお昼すぎぐらい、周りには人の姿が見えない。
デモや抗議活動の影響で外出を控えているのかもしれない。
そうして上条は少女を見る。
服装はピンク色のタンクトップに、膝上ぐらいまでの長さのパンツ。
肩まである黒い髪に、二重まぶたが特徴的な顔立ちで、全体的にほっそりとしたシルエットの女の子。
その少女の顔に上条は見覚えがあった。
「確か、天草式の五和だっけ?」
「あ、はい。
ご無沙汰しています。」
ペコリ、と可愛らしく頭を下げる。
本来、天草式のメンバーはロンドンで生活している。
なのにフランスにいる理由は一つしかない。
「お前もC文書の一件でフランスに来たのか。」
「どっ、どうしてその事を知っているのですか!?
確かに私達はC文書について調査を行っています。
私達天草式がようやく探り当てた糸口をそんな簡単に。
さすが、麻生さんです!
元女教皇様を無傷で勝利したお方ですね!」
間違っていないのだが、熱い視線を浴びて身体がむず痒くなってきた麻生。
純粋な眼差しには慣れていないのかもしれない。
実際には土御門から教えて貰った情報なのだが、教えたら説明が長くなりそうなのでしなかった。
「で、でも、驚きました。
突然、空からパラシュートで降りてきたのですから。
何があったのですか?」
「土御門と一緒に学園都市からここまでやってきたんだ。
空港とかに降りたら危険だから、途中下車のノリで空からパラシュートで・・・・」
あの時の恐怖を思い出したのか、軽く身震いしながら顔を青くして上条は語る。
「ツチミカド、さん・・・ですか。」
「知り合いだ。
そっち関連のな。」
麻生の補足的説明を聞いて、ある程度五和は納得した。
そっち関連、つまり魔術側の人間であるということ、麻生の知り合いということで合点がいった。
「てか、建宮とかはここにいるのか?」
麻生は軽く見回して、他の天草式のメンバーの姿が見えないを確認して尋ねる。
「建宮さんを含む、戦闘メンバー五二名。
総員でフランス国内の主要都市を洗っています。
イギリス清教の要請で、フランス内の地脈や地形の魔術的価値を調べていたところです
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