暁 〜小説投稿サイト〜
東方調酒録
第十話 稗田阿求はプレゼントする
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
ートの作り方とバレンタインデーのことを話した。
「そのカカオってのはどこで手に入りますか?」
文がいつの間にか手帳を取り出していた。
「幽香さんに頼めば手に入ると思いますよ」
「なるほど…… カキカキメモメモ……」
「作るんですか?」
「いいえ、 流行らせたら面白いかなっと思いまして」
「流行りますかね?」
「だから、流行らせるんです。 流行を作るのは情報屋の得意分野ですよ〜。 これが流行れば誰が誰のことが好きか分かって面白いですよ」
文が目を輝かせている。すぐに流行る光景が目に見えていた。
「妖怪にも恋という感情はあるんですか?」
「どうでしょうね…… 河童は結婚とかするから恋はあると思うよ。 私達、天狗も卵生ではあるが、好きなものと番いになることもあるな。滅多にないことだが…… 妖精みたいな自然から生まれるモノ、唐傘みたいな物が変化したモノは分からないな……。 でも好きな人間や他の種族に付きまとう奴もいるから、そう言う感情もあるんじゃないのか? しかし、それは人間の言う恋というより、好意の方だと私は思うけどね」
「そうですか……」
「じゃあ、 そろそろ帰るわ。 これ……」と言って、阿求は使っていた筆と墨などを悠に渡した。
「ごちそうさま。 早めに休んでくださいね」
そう言って、文と阿求は店を後にした。悠は店内の明かりを消して、優しい明かりを放っていたミノムシの籠を持ち上げた。びっくりしただろう、ミノムシの明かりが一瞬だけ明るくなった。悠はそれを持ったまま寝室に戻った。
 
 ――数週間が過ぎ、チョコレートが売られるようになった。経過を要約すると、パチェリーによって生産方法が確立され、河童により量産され、魔理沙が独占販売を始めたのである。

 「どうしたのよそれ?」
悠の惨状を見て、阿求が眉を寄せて聞いた。露出している肌はほとんど包帯に巻かれ、顔は明らかに血の気が足りなかった。
「幽香さんに弾幕勝負を頼んだんですけど……」
悠が思い出したくないように頭を振った。
「すごい暴挙ね!死にたくなったの?」
「いや、そういうわけでは……幽香さんってすごい妖怪だったんだな……」
悠は『九陽真経』を覚え、スペルカードを手に入れたのである。それで何を思ったか、悠の中では優しい妖怪である幽香に練習を頼んだのである。美鈴では強すぎるから、幽香の方がいいと考えたのだろう。結果は手加減に手加減した幽香の攻撃でゲームオーバーになったのである。
「間抜けね……。 これあげるわ。 たまたま買ってきたやつ」
阿求が差し出したのは魔理沙の売っているチョコレートであった。紙の箱にしっかりとラッピングされ、かわいいピンクのリボンも付いていた。
「え!? いいのか? これって……そういう意味?」
「ちがうわよ!」と阿求がはっきりと言った
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ