第十話 稗田阿求はプレゼントする
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い、 本当に大丈夫ですか?」
うん……と答えながら、ウォッカとコアントローを混ぜ、最後に絞ったライムジュースを少しの間、何かを思いながら見つめた後、シェーカーに入れた。氷を入れ、ストレーナー、トップを被せ、振り始めた。シェーカーの音が止まるのを見計らって、カウンターのいつもの端の席に座っていた阿求が席を立ち、「ドアの明かり消してくる」と言ってドアを開けて外へ出て、ドアの両端の明かりを消し戻ってきた。
「これでもう人が来ないわ。 私達が帰ったらもう寝なさい」
阿求が席に戻って言った。悠は阿求にギムレットを出したあと、そのまま眠ってしまったのだ。阿求はその間ずっと黙って起きるのを待っていたのである。
「ありがとう。 最近ずっと修行続きでしたから……」
悠は口を押さえて、欠伸を一つした。
「紅魔館の門番とだよね? 以前は嫌々行ってたけど、最近はえらい色気を見せてるわね…… いいえ、 もしかしたら色気に魅せられたのかしら?」
阿求が嫌味を含んだ特有な発音で言った。文は居心地が悪そうにグラスを弄った。
「違いますよ…… もしかしたらと思って貸本屋の鈴奈庵を探したら『九陽真経』(きゅうようしんきょう)を見つけたんですよ。 それでやる気が出ただけです。 って鈴奈庵を紹介してくれたのは阿求さんじゃないですか」
「そうでしたか?」と阿求はとぼけたが、「あなたが忘れるわけないでしょう」と文が呆れて言った。
「その『九陽真経』ってのはなんですか?」
文が悠に聞いた。初めて聞いた単語なのでネタになるかもしれないと考えたのだろう。
「武術の秘伝書です。 習得すれば、美鈴さんぐらいとは言えないけど、結構の気功が扱えるんです。 美鈴さんの習得方法で修業したら、僕では何十年かかるか分からないですからね……」
「へぇ〜、 そんな便利なものがあるんですね! 今度見せてください」
「いいですよ」
その後も三人で雑談していたら、阿求が思い出したように「ねぇ? ちょこれーとってどういう味?」と悠に聞いた?
「チョコレートですか? それなら……」
悠は後ろの棚からチョコレート・リキュールの『モーツァルト』を取り出して、少しだけグラスに注いて、「どうぞ」と言って阿求と文に渡した。
「甘い……」「甘ッ」というのが感想であった。
「外の世界ではこれを仲の良い人に渡すのね?」
「ん!? 阿求さん、何のことですか?」
「この前見た外の絵巻に描いてあったのよ。 でも液体ではなかったわよ」
「なるほど……、 確かにそんなイベントがあるね。 それは固形のチョコレートだよ。 これはそれとお酒を混ぜたモノと思って貰えればいいな」
「作り方は知ってる?」
「うん、 一応……」
「ふ〜ん、 で何でそんなことするの?」
「え〜と、それは……」悠は自分の知っているチョコレ
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