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珠瀬鎮守府
木曾ノ章
その2
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さま道を開けた。
「ほら、ここが提督室」
 無人の廊下を歩き、階段を何個か登った先。ここが、提督室らしい。
 不知火が、提督室と言った扉を二度叩いた。中から女性が、どうぞと答える。
 不知火が扉を開ける、中には和服の女性が佇んでいた。
「不知火です。木曽を連れて参りました。提督は今居らっしゃらぬようですが、どこにおられますか」
「木曽さんが遅いということで迎えに行きましたよ。入れ違ったようですね」
「そうですか」
「木曽さんはここで待っていてください。不知火は部屋に戻って良いですよ」
「了解しました。失礼します」
 不知火は退室していった。残されたのは、私と、名も知らぬ先輩。
「木曽さんね、私は鳳翔。宜しくね」
「木曽だ。宜しく願う」
 和服の先輩は鳳翔という名前らしい。簡単な挨拶が終わっても、視界の端で彼女を伺う。鳳翔と名乗った女性は美しかった。
「芍薬か」
 小さく、口から言葉が勝手に出た。写真でしか見たことがない花だ。
「気になる?」
「何がだ?」
 こちらの言葉が聞こえていたのかいなかったのか、鳳翔さんは問いかけてきた。
「さっきから、こっちをチラチラ見ていない? まぁしょうがないわね、こんななりだもの」
 どうやら、今の言葉ではなく、彼女を見ていたことに気づいていたらしい。
「その格好のことか?」
 けれど、こんななり、という意味がわからなかった。彼女は和服だ。確かに軍服の類ではない。だが、私は海兵服に近い格好。それが艦娘の決まった服装ではない。ある程度融通などが利く。ことに、彼女は人だ。身分が高ければその限りでないが、彼女は相当な身分なのだろうか。物腰の柔らかさからは威厳というものは感じ得なかったが、実は失礼に当たっていのか?
「あら、違った? てっきり武装していないからだと思ったけど」
「え?」
「軽空母、それが私に与えられた役割よ。いえ、役割だったわ」
 彼女の腕にも背中にも足にも、私の様に無骨な武装は何もない。人かと、思っていた。
「だからかと思ったのだけど、思い違いたったわね、ごめんなさい」
「あ、謝ることじゃない。ちらちら見ていたのはこっちだぞ」
 その時、部屋の扉が開いた。目を向けると、提督が居る。
「探したぞ木曽。途中で不知火に合わなかったら、まだ探していたところだ」
「あんたが先に行くから、こっちも大変だったんだ」
「それもそうだな。兎角、話がある。お前の武装などの話になるが……」
「資料はこちらに」
 提督が言いよどんだタイミングで、鳳翔さんが提督に紙を数枚渡した。それと同時に、労いの言葉もかける。本当に、よくできた人だと思う。


「20.3mm連装砲に、61mm4連装魚雷。悪くはねぇな」
「だろ、嬢ちゃん。大切にしてやってくれよ」
 提督から諸々の
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