蒼風の谷
ハーレムも楽じゃない
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先日の盗賊退治からパーティーメンバーにエリザが加わり我がパーティーが華やかになった。そしてこれは、オレにも春が来たということなのだろうか。
「うふふ。」
「ふふふ。」
右腕にセリナ、左腕にエリザ。
西部王国の入り口で一大交易都市カターパに着く前からこうして二人はくっ付いていた。はっきり言って重い。
そして両腕が彼女らの柔肉に沈んで気持ちいいんだけど落ち着かないし、周囲の目も痛い。ハーレムに憧れている紳士諸君、ハーレムの楽じゃないよ。
「ねぇカズヤ、蒼風の谷に行く前にあそこでお茶しない?」
「ねぇカズヤ様、こちらのお店でお茶しませんか?」
「「む……。」」
左右で違う方向に行こうとするなんてハーレムなんてもう求めませーん。だから許してくれー。
「むむ……。」
「うう……。」
「平和に行こーぜ……。」
この街に入ってからずっとこの調子だ。
しかしお茶する前にやることがある。
「すまないが二人だけで行ってくれ。オレは情報屋と会う約束がある。」
「「えー。」」
両方からブーイングが出る。さらに腕が沈む。
「えーじゃない。あいつは俺以外にいたら何も喋らないんだ。だから先に宿でくつろいでおいてくれ。」
「ぶー。」
「わかりました。出来るだけ早く帰ってきてくださいね。「あたくし」のもとに。」
「何言ってるのよ、私の所でしょ。」
「「む……。」」
「わかったわかった、ちゃんと帰ってくるから締めるな!」
これ以上は青少年の正しい欲求で某一か所がヤバくなる。これ以上されると理性が……。
「ちゃんと帰ってきてね。」
「わかっている。ところで解放してもらえませんか?」
「ではセリナさん、先にお離しいただけますか?」
「あら、エリザさんから離していただけますか?」
「「む……。」」
「おいおい……。」
仕方ない。無理やり引っこ抜くか。
「ソーイ。」
「ひゃぁっ!?」「きゃっ!?」
なんと言うことか、引き抜くどころか盛大に彼女たちの柔肉をすりあげ、そのまま持ち上げてしまった。
「良い物を見せて貰った。」
仕舞いには通りすがりの人にチップを貰った。
ひとまず彼女たちを下ろし片方ずつ抜く。
「ちゃんと帰ってくるから待っていろよ。」
無駄に疲れた。どうしてこうなった……。
二人を引きはがし宿に放り込みオレは予定の店に足を入れる。
店はどこの町にもあるような酒場で予定の情報屋は店の影になっているところからこちらを見ていた。
「趣味が悪いな、レイ。」
「あんなもの、見せられて、興味を、持たない、はずが、無い……。」
独特なしゃべり方をするこの男こそが少し前に紹介した情報屋だ。ほら人買いどもを改心
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