ALO編
episode3 現実との戦い3
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。あれだけで、息が激しく乱れている。
集中に伴って、体が悲鳴を上げ始めたのだ。
一応俺も、この世界独特の要素……「肉体の疲労」という現象を考慮して、リハビリ(という名の朝の鍛練)に精を出していたのだが、やはり犬ころとこの爺さんでは与えてくるプレッシャーが違う。頭はその緊張による疲労に慣れているが、あの世界では関係無かった肉体的な疲労は、確実に俺の体を蝕んでいく。
戦っていられる時間は、短い。
これが、俺が開幕突進を選んだ理由。
「はっ!!!」
間髪いれずに床を蹴り、飛びかかる。
噴き出しはじめる汗を拭う、なんて隙は見せない。
爺さん相手に、短期決戦。悔しいが、まだこっちの世界に来て二カ月と経っていないこの俺と、七十近いとはいえ日々鍛錬に余念のない暇人ジジイ。持久戦では向こうに分があるのは明白だ。
行くしか、ない。
「っ、くっ!!!」
「ぬぅん!」
突進して間合いを測る俺に、的を絞らせまいと爺さんの薙ぎが走る軌道を塞ぐ。
狙いは、手刀。脇腹か、首筋か、それとも突き指覚悟で貫手を叩きこむか。一応、試合という名目のこの勝負、一撃有効打を入れれば俺の勝ちとなる。年寄りを思い遣れ? 知ったことか、先に急所狙ってきたのはあっちだ。
「おおおっ!!!」
振り降ろされた薙刀の剣戟を辛うじてかわし、そのあってないような僅かな隙に体を捻って更に接近、俺の手の届くそのラインを目指す。だが、爺さんは鋭い足運びで大股に体を一歩引かせる。畜生、完璧に間合いを外された。俺の長い腕、そのリーチがしっかり見えてやがる。
頭で思う一瞬の間に、構えた右手が行き場をなくす。
その迷いの動作の間に、先程の動作で下段に構えられていた薙刀が鋭く跳ね上がる。
「くおっ!!!」
交差した両腕で抑えるが、その長いリーチの遠心力のたっぷり乗った一撃が俺の両腕をひどく痺れさせる。一瞬体が浮き上がるほどの突き上げを辛うじて堪えつつ、同時に連撃を躱すべく相手の広い間合いから抜け出ようと後ろに跳ぶ。
この世界に、《ソードスキル》は存在しない。ならば一つ一つの技には「硬直時間」は存在せず、本人の力量と反応速度の許す限りの連続攻撃が可能になる。ゲームの中での戦闘しか経験したことのない俺にはそんな芸当は不可能でも、この相手はそれを可能にする。
逃げなければ、即座に連撃の餌食だと、分かっている。
「ぬうううぅんっ!!!」
分かっていた。
予想通りに連続して繰り出される鋭い剣戟。
「っっ!!?」
しかしそれは、予想以上の速度で俺の体の全方位から襲いかかった。
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