第三章
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に赤い丸をつけて付箋をはる。付箋には噂の内容を書いて、赤い文字で自分なりの解釈を加えた。
「感謝しなさいよ。あのあと部活棟に戻って、噂の裏をとってきたんだからね」
「私もー」
琴美が、ぴょこっと地図を覗き込んだ。
「おかげで思ってたより早く情報がまとまったわ。ありがとう」
付箋に解釈を書き込んでいる私の手元を、沙耶が面白そうに覗き込んだ。
「ほんとに、河童捕まえる気なの?」
「粗大ゴミ捨てるのだってお金がかかるのよ。あのガラクタ、絶対に引き取ってもらう!」
「…珍しい」
「ん?」
「流迦が、こんなにムキになるのって」
「だね。流迦ってなんだかんだ言ってモメ事キライじゃん」
…ムキに?
なってるのかもしれない。
そりゃそうよ。あんなこと言い逃げされてたまるか。うちに粗大ゴミを放置したことも、私のこと「ひどい奴」って言ったことも、全部後悔させてやる。
「目撃情報を時系列に並べてみよう。…三日前の昼、うちを飛び出したあとにもう一度小道に戻ってグミの実を食べる」
「戻ってまで食べたいかねー」
琴美がくすくす笑う。
「ここから次の日の昼までの足取りは不明…と」
「そのあと、天文館通での目撃情報多数。…あ、いいなぁ、白熊食べてる」
「よし!」赤鉛筆をペンケースにしまって、地図をたたむ。
「情報収集のために、私たちも食べにいくわ」
「え〜!!」
琴美が大げさに悲鳴をあげる。でも許してあげない。今日の私はちょっとご機嫌ななめなんだから。
―――私たちは今、桜島行きのフェリーに乗っている。
特大白熊を3人で食い倒したあと(琴美は半泣き状態だった)、店主に聞き込みをしてみた。この時期は観光客が多いだろうし、たいして期待してなかったんだけど(って言ったら琴美に『じゃあなんでわざわざ白熊食べにきたの!』と半泣きで猛抗議された)、奴はここでも悪目立ちしてたみたいで、思ったよりすんなり情報を聞き出せたけど、
「桜島大根を売ってる店はないかって聞かれたけど、ほら、あれは冬場だしねぇ…」
と、苦笑いされてやんの。一応、漬物屋を案内しておいたけれど、興味は薄そうだったらしい。自分で聞いておいて失礼な奴。
念のため漬物屋にも行ってみた。どうせ来ていないと思っていたのに、意外にもあの河童は漬物屋にも顔を覚えられていた。
「桜島大根の千枚漬けの周りをうろうろしてたがよ。そしたらうちに品物卸してる業者さんつかまえて、なんか話して…そのうち、業者さんのトラックに乗って、どっか行っちゃったよ」
「どこへ?」
「さぁ……」
漬物屋さんは、首をかしげながら奥へ行ってしまった。
「あ、でも」店の奥から声がした。
「仕入先の契約農家のおっさんに会うとかなんとか言ってたな?」
「それよ!」
居酒屋で農家のおじさ
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