第二章
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第二章
男の子はここで疲れてしまってソファーに歩み寄りました。そうして腰掛けて休もうとしたのですが。
「駄目だよ」
「えっ、駄目って!?」
ここで何処からか声が聞こえてきたのでした。
「悪い子に座らせる席はないよ」
何とソファーが動いて男の子を座らせようとしません。男の子もこれにはびっくりです。
「えっ、ソファーが」
「何てことをしてくれたんだ」
今度は今さっき男の子が火かき棒で壊した時計から声があがってきました。
「振り子も取れたし針も止まったし」
「時計が喋ってる!?」
「喋って悪いのかい?」
時計は怒った声で男の子に言い返します。
「僕だって喋れるんだよ」
「嘘だ、そんな」
「嘘じゃないよ」
「そうだそうだ」
また声が聞こえてきました。
「さっきはよくも壁に投げてくれたな」
「許さないぞ」
あの木の茶碗とポットです。
「殴ってやるからな」
「何度でも殴ってやるぞ」
「どうしてものが喋るの?」
男の子にはそれがどうしてもわかりません。困り果ててしまいました。しかもそろそろ日が暮れて寂しくなってきました。
おまけに寒くなってきたので暖炉に近付いて火を点けようとします。ところが。
今度は暖炉でした。まだ何もしていないのに火が怒ってバチバチと音を出すのでした。
「暖炉まで」
「そうさ。いい子は暖めてあげるけれど」
その暖炉の火もまた怒った声でした。
「僕をこんなに灰で汚くした君は絶対に駄目だからね」
「うわ、近寄れないよ」
火が出て来てとても近寄れません。男の子は壁の方に逃げました。
けれどそこも駄目でした。壁にいたのは。
「折角いつも一緒だったのに」
「それなのに」
その羊飼いの男の子と女の子が泣いていました。
「それがこんなに引き裂かれてしまったよ」
「もう一緒になれないのね」
「男の子と女の子が」
「君のせいだ」
「貴方が私達を引き裂いたのよ」
二人で男の子に対して抗議してきます。
「どうしてこんなことをしてくれたんだ」
「何でこんな酷いことを」
「そんな、酷いことって」
「そうよ」
男の子が困った顔になっているとここでまた声が聞こえてきたのでした。男の子が破った絵本から出て来たのはお姫様でした。
「お姫様?」
「今まで楽しく読んでくれていたのに」
お姫様は男の子をとても悲しい目で見ていました。
「それなのにどうしてなの?」
「どうしてって?」
「貴方が絵本を破ってしまったから私は」
お姫様の目から涙が零れ落ちます。そのうえでまた言うのでした。
「絵本の中の悪い魔法使いに魔法をかけられて」
「あいつに!?」
男の子もよく知っている魔法使いです。お姫様をいじめるとても悪い奴です。
その悪い魔
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