第一章
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第一章
子供と魔法
ノルマンディーの田舎の家。昼下がりに男の子は自分のお部屋の中で遊んでいます。
昼下がりのけだるい雰囲気の中に包まれたお家は木でとても頑丈に造られていて男の子の部屋もとても厚い壁に覆われています。あちこちにおもちゃや家具があって籠の中にはリスがいて丸くなって寝ています。ソファーには白猫がいますが猫も丸くなって寝ています。男の子はベッドの上に座ってそのうえで絵本を読んでいます。
ふと顔をあげてそれから机の方を見ます。机は樫の木でできたとても頑丈そうなものです。その机の上には教科書やノート、それに鉛筆といったものが置かれています。
「お勉強しようかな」
男の子はふと呟きました。
「そろそろ。けれど」
それでもです。何かのんびりとしていてお勉強をする気になれないのでした。それで絵本を読み続けるのでした。
「いるの?」
「あっ、ママン」
ここで扉をノックする音が聞こえてきました。男の子は扉の方に顔を向けて応えました。
「おやつよ」
「えっ、おやつ!?」
男の子はおやつと聞いて顔を明るくさせました。するとお母さんが部屋の中に入ってきました。スカートとエプロンが見えますがとても大きいので顔が見えないです。
お母さんの声は上から聞こえてきます。ベッドから前に来た男の子にその声をかけるようです。
「おやつは何なの、ママン」
「お勉強はどうなったの?」
お母さんはまずそのことを尋ねるのでした。
「お勉強は。進んでるの?」
「おやつは?」
男の子はおやつのことには答えないのでした。
「それでおやつは何なの?」
「お勉強のことを聞いているのだけれど」
お母さんの声が少し怒ったものになってきました。
「若しかして全然していないの?」
「だからおやつは?」
男の子はそれでも全く答えないのでした。尋ねるのはおやつのことばかりです。
「おやつは何なの?ねえ」
「お勉強をしていない子にはあげません」
お母さんは遂に怒ってしまいました。
「そんな子にあげるのはこれです」
「えっ、これ!?」
「そうです。これだけです」
お母さんがこう言って出してきたのは砂糖が入っていない紅茶とジャムを塗っていないパンだけでした。これでは朝御飯と同じでおやつとは言えないものでした。
「反省しなさい。罰ですよ」
「そんな、お勉強はすぐにするのに」
「今しなければ駄目だったのよ」
お母さんの声はやっぱり怒ったものでした。
「わかったわね。いいわね」
「ちぇっ」
男の子はふてくされましたがもう遅かったです。お母さんはその紅茶とパンを部屋に置くとそのまま行ってしまいました。男の子は仕方なくその紅茶とパンを机の上に置きました。
けれ
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