九 道化師は哂う 前編
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体のその霊能力は後々幸福となるか不幸となるか、そもそも彼自身の為になるのかは実質誰にも解らない。
次に横島が手にした力は、一般に[霊波刀]の一種と考えられているもの。
右手の甲が淡い光を放ち、徐々に篭の手のような鎧を纏う。
横島は、その右手に光を見た。希望の光、救いの灯…――栄光を。だから彼はその力を、[栄光の手]と名付けた。
伸縮自在に様々な形状へ変化するソレを、最も攻撃力の高そうな武器―剣に象らせて闘う。
そうして最後に手に入れた力が[文珠]である。
足を引っ張っていてばかりの今までの自分を一蹴し、命を賭けた事で身につけた力。
いつか辿り着きたいと願っていた、美神令子の隣。
その理想の立ち位置に上り詰めたくて、彼女の助けになりたくて高めた能力。
横島は、助手ではなく戦友として美神に認められてほしかったのだ。
無類の女性好きを宣言する横島であるが、彼が抱きつく行為をするのは初対面の女性のみ。そして大抵その女性達は、横島を必ず拒むと予想できる人間である。だから会う度に抱きついてどつかれるといった漫才のようなやり取りの相方は、いつも美神だけだった。
意地っ張りで負けず嫌いな性格は、弱い自分を見せないためのもので実は寂しがりやだという美神の本心を、横島は勘付いていた。前世の彼女を慰めたいという、深遠な魂の訴えもあったかもしれない。
セクハラという行為を利用して横島は美神に抱きつく。そうすれば正当防衛という名で、彼女が遠慮なく力を振るえるから。
現世も前世もひっくるめて、横島は美神の我儘を受け入れる。照れ隠しに殴られようが、八つ当たりに蹴られようが、ストレス発散にしばかれようが、横島は大して文句は言わなかった…三途の川は見飽きたが。
そうしてGS仲間と共に様々な困難に立ち向かううち、一般人から程遠くなっていった横島は。
次第に世界を揺るがす大事件へと捲き込まれる事になる。
なるほど、とナルトは思う。
霊能力というモノはその人の性格を如実に現しているのだろう、と。
横島が最初に身に付けたのは、霊気の盾。
強靭な防御力を誇るその盾は、出現する間拳以外が全くの無防備になってしまう…諸刃の剣。されど投擲し相手にぶつければかなりの威力を放つ、防御にも攻撃にも使える技。
しかし使い所を誤れば、どう戦況が転ぶか判らぬ紛らわしい力。その力は、横島の優柔不断な性格と似通っている。
次に彼が身に付けたのは、[栄光の手]と名付けた霊波刀の一種。
様々な形状に変化出来るコレは、確かに応用力が広い。一つの形に留まらず、注がれる霊能力次第で発揮する武器である。
しかし一に定まらずに複数の形状へと変わるその様は、横島の複合観念(コンプレッ
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