第五十二話
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アの働きだった。
他の皆には牢に捕らわれて居た人々をマナナン王のもとへ送り届けるように頼んだ。
医者が傷を診たり、消毒したりが終わったので彼女に杖を使ってもらうと、レイミアは顔色がだいぶよくなり、礼を言うと眠りに落ちた。
部屋にはシルヴィアに残ってもらい、俺と医者は人目を離れて話し合う。
「あなたの予想通り、酷い目に遭わされたようじゃ……、う〜む、その手の病はすぐ発症すると限らないからなんとも言えんが……わしは知識としては知っておるが、診たことは余りないからの、イザークはある意味大陸の他の地域から隔絶されておるから、罹った者は滅多に居らんよ。 診たことがあるのは、余所との行き来が港を介して良くある王都でくらいじゃから、安心してよいぞ」
「はい、ありがとうございます」
「ただ、筋や腱のほうは……すまんのぅ。 施しようが無い。 鍛えて補えばわずかに動くようになるやもしれんが……だが、剣を振るのは無理じゃろう。 すまんな」
「わかりました……ありがとうございます」
眠っているレイミアを隊のみんなに少し遠目から確認してもらい、ひとまず安心してもらった。
マナナン王に会い、非礼を詫び、そして一つの願い事を伝えてその場を後にした。
すっかり冷えた粥をもらった後の俺は、レイミアが寝んでいる部屋に戻り、彼女の傍らに座ると、シルヴィアに交代と礼とを述べた。
それからしばらくして目を覚ましたレイミアは腕に力を入れて起き上がろうとしたが、それを果たせなかったことで浮かべた力ない笑みがいやが応にも俺の心を締め付けた。
彼女の背に腕を回し起こしてやると、目の端に輝くものがあった。
「……ちょっと捕まった間に腕が鈍っちまったよ、明日からはなんとかするから食べさせておくれよ、お腹がすいてしょうがないよ」
「うん、明日も明後日も、ずっとだって構わない……」
木匙で粥を掬い、一口ずつ運んでやると、彼女は味わいながらお腹に納めていった。
食べ終わらせるとおかわりをねだってきたので再びもらいに行ってみると炊事場は片づけた後だったのでワインを一瓶、輜重隊から融通してもらった。
仔細を話すと残念そうだったが、食事もそうだし、杖の治療のおかげだろう、すっかり元気になったようで笑顔も見えた。
飲ませてあげようと背に手を回して起こそうとしたら、腹筋の力だけで上体を起こし、得意そうな顔をしたものだから、沸き起こって来た激情のまま抱きしめ……そのまま唇を塞ぐと彼女もそれに応えてくれた。
だから……無理やり彼女を自分のものにした。
「……もし、お前が子供を宿したら、絶対に俺の子だから」
コトの後そ
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