第五十二話
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はがいじめにし、諭してくれたが……俺の力は上回り、二人を振りほどくと一気に駆けだし始めたが……
「すまぬ、許せ」
俺は首筋辺りに強い衝撃を受けた気がした。
辺りが真っ暗になった。
「おや、気が付かれましたか」
「くっそ、縛りやがったな、ちくしょうめ」
気がつくと両手足を縛られてどこか天幕の中に転がされていた。
目の前には、たぶんイザークで最高の医者が居た。
辺りを見回すとレイミア隊のみんなも居て、俺を覗きこんでいた。
「ミュアハ、落ち着いて。 すこしでも早く助けてあげたい気持ちはみんな同じだよ……」
「そうだぞ、お前らしくもない」
「……まぁ、姐さんを救いだしたら、これを肴にしようや」
「……………」
何も言わない俺に呆れたのか、気を遣ったのか、見限ったのか……皆は天幕を去って行き、俺と医者だけがそこに居た。
打撲の場所に宛がった薬草と包帯を診ていた医者に問いかけた。
「ご医師様とお見受けしたが、相違あるまいか?」
「そうじゃよ」
「いまのうちに聞いておく」
「なんなりと」
天幕から夕日が覗いたあたりで俺は縄を解かれ、一息ついた。
マナナン王が約束した日没まであと僅かだ。
既に城門は開かれた状態であり、約束の刻限を今か今かと待ちわびた。
「……レイミア隊! 突入する!」
皆は俺を見限った訳では無く、日没と共に俺たちは城内に吶喊した。
もし、ワイヤーなりピアノ線なりを張り巡らされていたら簡単にひっかかるほどの勢いで俺は駆けに駆けた。
族長の立て籠る城の最上部などは目もくれず、俺は地下を目指した。
昨夜絞め上げた相手から聞き出していたからだ。
見つけた階段を下りていくと牢がいくつかあったが看守のような者は逃げてしまったのだろうか。
幸い鍵は壁に掛けてあったので手に取る。
「レイミアー! どこだー! 応えてくれー!」
返事は無いので、焦る気持ちで駆けながら声を張り上げ、一つ一つの牢を確認した。
人質にされていた人々を解放したが、考えなしに外に出てはマナナン王に誅されるであろうと説明し、牢だけは開けた状態にした。
そうやって解放していくと、一番奥に、探し求めていた姿とはかけはなれた姿にされた彼女が居た。
あの長く艶やかな髪はバッサリと切り落とされ、しなやかに伸びていた体を丸く縮め、腕は力なく投げ出されていた……
無残に衣服は剥ぎ取られ、彼女の投げ出された腕には痛々しい傷跡があり、包帯に血が滲んでいた。
受けた暴虐はそれにとどまらず、女性としての尊厳を踏みにじられているのは確認するまでもない………
俺は、マントを外すのも
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