第五十二話
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められたものはリボーの城門、城壁上の置き盾の表面、それに物見やぐらへと突き刺さった。
それを確認すると射手は引き上げて行き、逆に俺は城のほうへただ一人駆けだした。
「城内の者達に告げる、ダーナから連れ去った捕虜の返還を求める! マナナン王は速やかに開城すれば罪に問わないと仰せだ! それは今送った矢文にも間違いなく記されている。速やかに投降せよ!」
声の限り三度そう叫び、俺は陣のほうへ戻ったが籠城側から射かけられることは無かった。
気が遠くなるほど待った後、城門が開くと非戦闘員が逃げ出してきた。
その隙間を狙って突入しようとする俺達にマナナン王は頭を下げて頼み込んできたので、従わざるをえなかった。
夜になり、宿営地でかがり火が焚かれ、脱出してきた者達から事情が伝えられてきたようだ。
なんでも、魔道士が族長の周りに侍り出してから何もかもおかしくなりだし、今回の襲撃事件もやつらに教唆されたに違いないと………
こちらの明かりを目指して武装解除した男達が投降してきた。
俺はイザークの軍人に止められてもひるまず、レイミアの消息を尋ね歩いた。
……止めるイザーク軍人と時には殴り合いになりながらも投降者達を絞め上げ、レイミアの消息をようやく聞き出した。
翌日の早朝、マナナン王は投降者や脱出してきた女子供を連れて城門前に再び赴き、投降を呼びかけた。
「投降すれば罪に問わない。 しかし日没まで留まっている者は……捕虜を除いて皆殺しにする」
王の呼びかけている間に城壁に登った数人の者が弓を構えて王へと狙いをつけはじめた。
供の者を下げて、本隊と合流したのを見届けてから、ただ一人で呼びかけを続けた。
「自らの王を撃つというのか! 愚か者どもよ! 非道を行いしそなたらは、決して太陽の下を歩けぬようになると心得よ!」
全員とまでは行かず、数人がマナナン王に向かって矢を放ったが、ただの一本も掠りはしなかった。
「神剣バルムンクを抜かぬわしを撃ち殺すことすら叶わずして、如何な企てとて為せようか!」
その言葉を皮切りに城門が開け放たれて、籠城する者達が外に溢れ出てきた。
これを利用し城内に突入しようとする俺たちは再度、王に懇願された。
「自棄になってレイミアを殺してしまったらどうする!、それに日没迄待つと言ったのは、王、あなただけです。 それをイザーク軍全体と解釈するのはいいでしょう。 だが俺たちはイザーク軍では無い!」
「待て、王子、マナナン王がすぐに動いてくれたからここまで事態が動いたんだ、俺たちだけで救出に来ていたらこんなふうには進まなかったんだぞ!」
「うるせー! そんなの百も承知だ!」
ベオとヴォルツは二人ががりで俺を
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