第五十二話
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が父カルフは陛下と昵懇の間柄と聞き及んでおりますが、このような形でお会いすることになるとは思いませんでした」
「殿下の救い出してくれた我が国の民の証言によれば、まこと、申し開きも出来んことを我が一族がしでかしたようで返す言葉も無い……」
質実剛健を絵に描いたような偉丈夫であるマナナン王は額に皺を入れ、苦渋の表情を見せた。
イザークの重臣会議に参加させてもらい、充分に議論が尽くされたので俺は発言を求めた。
「……性急な事を申すようで、そして貴国の統治に関わることを申し上げること、危急のことにて容赦願いたい。 すぐさま軍を発し、リボー族長のトレントにその責任を果たさせていただけはしませぬか? グランベルと事を構える危険を貴国が犯すことになりかねぬのを防ぐ為にも……そして、私にとっても私に協力してくれている皆にとっても大切な者を取り戻す為に。 かまえて、ここは迅速な決断をお願いしたい」
「……殿下の心中、察しはする。 ただ、あやつにも事情あってのことやも知れませぬ、あやつの一族への沙汰についてはお任せ願えないだろうか?」
「はっ………我が許嫁たるレイミアを取り戻すこと叶えば、それ以上の望み、ありませぬ。あぁ、イザーク指折りの、出来れば一番の医師をお引き連れいただきたい」
「その件、我が名に懸けてお引き受けいたそう……誰ぞある! 馬牽けぇ! 出陣じゃ!」
不意の出陣であり、補給の心配は無いのかと思ったが後事を任されたマリクル王子の差配により、輜重隊は準備が出来る度に本国から送られるそうだ。
その護衛も見越して先発隊はもともと数を少なく編成されていた……ただ、俺から見ると大軍にしか見えないのだが。
リボー周辺にこちらの部隊が潜伏しているのでそのあたりも王に配慮を願った。
もちろん情報提供は惜しまないとの申し出は欠かせていない。
リボーの南東でヴォルツ達本隊と合流し、情報を提供してもらった。
二、三日前にほうほうの態で落ちのびて来た一団があり、襲撃をかけたが取り逃がした。
士気も低ければ、ろくに戦える様子では無かったが城門を閉ざされたので深追いはせず俺が合流してくるのを待ったそうだ。
イザーク軍はリボー市街を取り囲み、軍使を送ったが閉ざされた城門の奥へ通されることは無かった。
それならば、ということで矢文を送り付けるということになった。
文面について俺も確認を求められたので概要はわかっており、それは以下の通りだ。
ダーナ襲撃について取り調べを行う為にイザーク軍は訪れた。
明日の日没までに開城し投降すれば誰も罪に問わない。
ダーナ側から連れ去った者を即時解放せよ。
俺は矢文を撃ち込む射手の前に盾をかざして防壁となった。
同じ内容がしたた
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