第五十二話
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ているのですぞ!」
思わず声が荒くなってしまったがこれでも抑えたつもりだ。
「いや、それは、そのぉ、亡くなった者のしたこと、そして己の命で償ったようなものですので、どうか穏便に……」
「………わたし達は彼女を取り返しに向かいます。 多少の人員をお預けしますので義勇兵を募り、その士官とでもされてください。……打って出ることさえ無く、城壁に拠り続ければこの街は陥ちません」
「それは、ありがたく……」
翌日、一日いっぱいかけてこちらはリボーへの遠征準備を行っていたが、街の中は敵軍を追い払ったとお祭り騒ぎをやっていた。
……おかげで物資の調達は滞りなく、予定より大幅に安く調達出来たとはいえ内心、忸怩たるものはある。
逸る心を抑え、街の詰所に残るメンバーを選び出すと、残留メンバーは表だって不満の声こそ上げなかったが痛いほどその気持ちはわかる。
もし、俺が残留メンバーに選ばれたらきっと怒り狂うか命令違反を犯しただろう。
そういう意味でもレイミアは配下をしっかり育てていた。
充分な物資を揃えた本隊、こちらはヴォルツに任せ海岸沿いから北上してもらい、リボー近辺で後ほど合流する予定だ。
俺はイザークへ直接船で乗り付け、マナナン王に直談判する。
その為にもダーナ市側にはこちらで捕らえた捕虜の内、そのほとんどを秘匿し、この航海に連れだしていた。
カネでなんとか船を買い上げたが、交渉の材料にブリギッドやシルヴィア、それに幾人か居る女剣士のカラダを求めるという下種の類はもちろん居た。
だが、そんな手合いは相手にしなかった為、必要な船数を揃えるのに幾つもの漁村を訪れる必要があった。
船酔いに苦しむ俺の面倒を見ようとしてくれたシルヴィアを断ったのは大人げない意思からじゃ無い。
ブリギッドの手下を除いては操船に詳しい者が居ないのでそのあたりを説明し、彼女にも出来る役割が多くあるものだから俺にかまける暇があったらそちらをこなしてもらいたかったからだ。
海賊の類にも出くわさず、大きな嵐にも見舞われ無かったおかげで一週間もかからずにイザーク港へと入港した。
イザーク王のマナナンと面会を果たす前に行った重要事項は、自分達は無理やり奴隷にされたなどと捕虜が言い出したりしないように彼らとの交渉を成功させたことだ。
家族を人質に取られ、やむなくダーナ攻めに狩りだされたのだ、マナナン王に直訴してリボー族長のトレントに解放してもらえと説得し肯んじてくれたのでなんとかなった。
レンスターと友好関係にあることもあり、身の証を立てる品をいくつか提示し俺の身分が確認されると、事態の重大さもあってのものか、すぐに会見することが出来た。
「……我
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