暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
因果
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は何も聞かずに退いてください」
「……………………………………………」
頭を下げるカグラと、相変わらず俺の目を直視しないレンを、俺は交互に見てゆるゆるとため息を吐き出した。何と言うか、折れた。もういいやって思った。
「…………解かったよ。だけどいつかは話してくれよな」
「はい、必ず」
空になったボトルを置き、自分と同じくらいの大きさのクッキーに挑み続けているユイの服を摘み上げて肩に乗せると、俺は一時この世界から離れるため席を立った。
VRMMOにおける《ログアウト》という行為は、プレイヤーの利便性とゲーム的公正さがせめぎ合ういささかの問題を孕んでいる。
つまり、急な用事を思い出したり、突然生理的欲求を覚えたりといった事情によってゲームから即座に落ちたくなる場合は多いのだが、それを無制限に認めると、今度は戦闘中にピンチに陥ったり、盗みを働いて追われたりといった状況で、ログアウトを利用したお手軽な脱出方法がまかり通ってしまうことになる。
そのため、大概のMMOではログアウトに一定の制限を設けている。
このALOもその例に漏れず、《どこでも即ログアウト》が可能なのは種族のテリトリー内だけで、それ以外の場合はプレイヤーが現実に帰還した後も魂無きキャラクターは数分間その場に残り、攻撃や盗みの対象とされる仕様になっているようだった。
テリトリー外で即時ログアウトを望むなら、キャンプ用具などの専用アイテムを使用するか、あるいは宿屋で部屋を借りるしかないということで、俺はログアウトしたリーファの言葉に従って《すずらん亭》の二階でゲームを落ちることにした。
カウンターでチェックインを済ませ、こちらを見つめるレン達に手を軽く振りながら階段を上がる。
指定された番号のドアを開けると、中にはベッドとテーブルが一つずつあるだけの簡素な部屋だった。
ぐるりと見渡すと猛烈な既視感が襲ってくる。アインクラッドでも、部屋を買えるようになるまでは、よくこの手の宿屋にお世話になったものだ。
後はもうウインドウを開き、ログアウトボタンを押せば現実に復帰できるはずだったが、俺は《寝落ち》を試してみるべく武装解除するとベッドに腰を下ろした。
フルダイブシステムを利用したVRゲームにおけるログアウトには、更にもう一つささやかな問題が発生する。
ログアウト時に、ゲーム内の仮想の五感と、ゲーム外の仮想の生身の五感が受け取っている情報にギャップがありすぎると、現実に復帰した時に不快な酩酊感を覚えるのだ。
立った状態から横たわった状態への飛行程度では僅かな目眩を感じるくらいで済むが、SAOに入る以前に一度、飛行系ゲームで錐揉み急降下状態からログアウトしたときは復帰してからも落下感に付きまとわれて酷い目に合ったも
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