第四十六話
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……だれ?」
少女はアスナの腕の中で俺とキリトを指差してそんなことを言い放ち、俺を玄関でフリーズさせることに成功した。
初対面の俺を少女がパパと呼ぶわけがない――というか呼ばれたら困る――ので、パパと呼ばれたのは十中八九キリトの方であり、舌っ足らずな口調で『だれ?』と指を指したのは俺だろう。
……ならば何故、キリトはパパなどと呼ばれているのだろう?
俺の脳がいつも以上に無駄に高速軌道した後、キリトがパパなどと呼ばれている理由に対し一つの解を導きだすと、俺はフリーズから復帰してキリトに背を向けた。
「……お幸せに」
「ちょっと待て!」
俺に何の用があったのかは知らないが、これ以上キリトとアスナの新婚生活を邪魔してはいけないと思って立ち去ろうとした時、キリトに背後から捕まえられて無理やり家の中に引きずり込まれた。
「理由を話すからこっちに来てくれ!」
そのままキリトに無理やりリビングまで連れて行かれると、未だに真に理解していない俺を椅子へと座らせ、アスナと少女はリビングではなくウッドデッキのような場所へと向かって行った。
「理由って……今度はどんな厄介事に巻き込まれてるんだ?」
恩人たるキリトに呼ばれた以上、これ以上ふざけている訳にはいかないかと思ったが、これでキリトからアスナとの惚気話とか出て来るのであれば、速攻で帰ってあの少女とこの隠れ家のことをアルゴに伝えることを決心した。
……まあ、あの鼠ならばこの隠れ家のことぐらい知っていてもなんら驚くことは無いのだが。
「俺とアスナで……その、幽霊が出るって噂になっていた場所に行ったんだが」
「俺が毎日命懸けで依頼をこなしてる時に、楽しそうで何よりだ」
ついつい口から滑るように出てしまった俺の言葉は、少なからずキリトの精神にダメージを負わせたようだったが、キリトは何とか立て直してそのまま会話を続けた。
「……行ったんだが」
「楽しそうで何よりだ」
俺のいたずら心というか、少々人よりも旺盛な知的好奇心が二撃目を放ったが、二回目ともなるとキリトへのダメージは少なく、そして立て直すのも早かった。
「そこで、あの女の子――ユイが倒れていたんだ」
「…………」
あのユイという少女が倒れていたために、このログハウスに連れてきたのは、本人はなんだかんだ言うがキリトらしい行動なので気にならないが、もっと大事なことが説明されていなかった。
「……精神にダメージでも負ったのか記憶喪失みたいで……見ての通り、幼児みたいな口調なんだ。俺やアスナのことを呼びたいように呼んでくれ、って言ったら……
「……パパ、か。なら、アスナはママか?」
俺の問いかけにキリトは頷き、あの少女――ユイという名
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