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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十六話 温もりと殺人鬼の瞳に映るモノ
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リョウ自身は一貫性の物として捕らえていた為仕方がない部分も確かにあるのだが……。

さて、では慣れで無いならば、一体この奇妙な力……と言うより、特技は何であるのか。
少し考えてみれば、PoHの中で直ぐに結論は出た。
即ち、リョウのそれは、どんなものでも一度見れば理解し、習得し、対応、あるいは応用出来るようになってしまう。そんな異常な程に高い、《学習能力》なのだと。

そう。仮にリョウのそれがあらゆる物を恐るべきスピードで学習する力であるとすれば、慣れと言うような言葉よりもよほど確かに、リョウの力に説明が付いてしまうのだ。
見た技の過程とその結果、それがどのようなスピードで来るかを即座に理解、学習し、学習したそれらを習得、応用する。理解が速く、受け入れが速いために対応も早い。それが、リョウのあの力の真実に繋がるとPoHは考えていた。そうして今、それは確信に繋がりつつある。

「よっ!」
「HA!」
突き出したナイフが割り込んできたコンバットナイフに叩き落とされ、反撃とばかりに細かい動きでの浅い斬り込みが迫るのを見て、PoHは滑るようにバックステップで下がる。空振ったリョウは其処から更に突き込みの動作に入り、対してPoHもまたそのナイフに絡めるように突きで迎撃する。
二度、三度、四度と突き合ってから、唐突にリョウが力を入れた一撃を放った事で、PoHの手が大きく弾かれる。

「ふっ!」
「……!」
出来た隙間に、リョウは一気に踏み込むと……

「っげ!?」
「Die!!」
目の前に現れたPoHの持つ拳銃の銃口によって驚きの声を上げた。と同時に、銃口が火を吹き、リョウは咄嗟に首を反らしてその弾丸を避ける。が、右の耳が抉れ、視界端に部位欠損のマークが表示された。と同時にそのいきおいによって首が大きく後ろに振れる。その隙を逃さず……

「YyAaaaaaHaaaa!!!」
「……!」
ここ一番のテンションを持って、PoHが自らの持つボウイナイフを突きこんだ。それは確実にリョウの右目に向かって迫り……

………………

…………

……

「……ふー、あぶねぇあぶねぇ……」
「…………」
突きこんだPoHの腕の内側に、リョウが居た。手に持った残弾数一発のDEが、PoHの顎に押し当てられている。

「Hey」
「ん?」
「そいつが、お前のそれの正体か?」
「……さぁ、な」
問うたPoHに、リョウは小さく肩をすくめて答えた。戦いの終わりを感じたせいか、二人の声は静かだった。

「Excellent……とんだmonsterが居たもんだ」
「怪物、ね……まぁ確かになぁ……」
PoHは、見た。

最後の一撃、PoHがナイフを突き出す“前”に、リョウが動いたのを、確かに見たのだ
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