35*昔の話
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〜ガルクサイド〜
あれは今から26年前の、俺が16歳の時の話だ。
その時俺は、現魔王のキースと王妃のレイラ、そしてリリスと共に放浪の旅にでていてな。
まぁ、元はそのさらに2年前に俺とキースがこっそり修練の旅に出ていこうとしたのを見つかって、奴らを泣く泣く同行させるはめになったのだが……それはまず置いといて、とにかく俺らは旅に出ていた。
そしてそんなある日、俺らは森と湖の街、プリットという所に着いたのだ。
「……やっと、着いたな」
「ああ、とうとう着いた」
そして俺とキースはあまりに嬉しすぎて、涙が出てきた。
対する女性陣は
「……むぅ…キースのばか、根性なし」
「ガルクも……なんで襲ってくれないですか」
これである。
前のスティー村から約6日間、こいつらは俺らをやたら誘ってくるのだ。
朝昼夜構わずになんだかんだいって足を止めては抱き着いたりくちづけしたり……
おかげで3日でいける所を二倍の日数がかかった。
しかもそもそも服装からまず悩ましい。
リリスは魔術師用の服を来ているのだが、胸が見えるのではないかという程に開いた真っ白な半袖の服に頭巾付きの薄い上着。
下はもう屈めば中身がみえるくらい短いスカート。
ちなみに背中には彼女の背丈並の、先に魔石がはめこまれた青い杖を背負っている。
レイラはもはや上は胸を隠すていどの服に、上は少し丈夫な、だが腹まで行かないくらいの袖がない緑の上着を着ている。
臍は出て防具の類は肩に申し訳程度ついているだけである。
しかも下はフトモモまで丸見えな短いズボンだけ。
そんな奴らが自分の腕に発育途中の女性の象徴を常時押し付けて来たらどう思う?
よく堪えたと自分を褒めたくなるよ。
……まぁ、多少理性が白旗をあげた事もあったが……特に夜とか……でも!まぁ奴らの攻撃の九割強はなんとか凌いだ。
「……根性なかったら、こんな所まで歩いて旅なんかしないよ」
そう言うのは、最近めっきり老け込んできたキースである。
彼はいかにも冒険者な恰好で、背中には剣ではなく巨大な槌を背負うという、なんとも奇妙な恰好をしている。
いつも思ってたのだが、なんで翼が邪魔にはならないのだろうか。
そしてなんで武器に誰も使わないような、そのうえなぜにやたら嵩張る槌を選んだのかは永遠の謎である。
「……野性の獣にはこれでもかってくらい襲われたがな」
そしてこれは俺。
軽くて赤めの動きやすい鎧を着て、背中には愛用の剣を背負っている。
……なんだその眼は。
短くても、事実なんだ、しょうがないじゃないか。
まぁとりあえず、俺らは着いたんだよ、街に。
もう、どこにも辿り着けないんじゃないかってくらい長い道のり
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