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なりたくないけどチートな勇者
35*昔の話
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な」

「いえ、そんな」

とりあえず、放置は危ないという事がよくわかった。

「はぁ……だいぶ長い時間話してしまったな」

「そうですね……もう3時間も」

「そうか……もう帰るかい?」

「そうですね……そうします」

自分はそう言いながら席を立ち、後ろを見ると

「上着をお持ちしましたナルミ様」

目の前にお年をめした執事(セブル)さんが

「おのぅぁ!気配が!いつのまに!!」

「主の望んだ時に仕事をする。これがランドルフ家の執事の仕事でございます」

いや答えになっとらんから。
ガルクさんも、笑いすぎ。

「あっはっは、いやー、セブルにはいつも驚かされるな。俺の親父もよく子供の頃に振り向いたらセブルの皺くちゃな顔があって驚いたと言っていたぞ」

「先代当主、グルース様が望まれたので赴いたまででございます……おや、奥様がお帰りになられたようですな」

セブルさんがそう言うと、リリスさんがおもいっきり扉を開いて

「ガルク!会いたかった!昔あった嫌な事を思い出して……わがままな私を優しく、慰めて下さい旦那様……」

「失礼しました、ごちそうさまでした」

自分は猛烈ダッシュで逃げ出した。

だって……なんか大人な事をやろうとしてるんだもん。
あそこにとどまるほどKYではない。

全く、リリスさんてば自分が見えないん……

「ナルミ様、上着をお忘れでございます」

「みぎゃぁぁぁぁぁ!!」

びっくりしたぁ!
お屋敷の曲がり角曲がったらいきなりセブルさんって!

青鬼を一人でやるよりびっくりしたわ!!

「それと、玄関はあちらにございます」

だが、そんな自分を全く気にもせずにセブルさんは自分を出口まで案内してくれた。

「ここでございます。お気をつけてお帰り下さい」

そう言った彼は深々と礼をして、自分を見送ってくれた。

「あ、ありがとうございます」

そう言って自分は扉に手をかけ、ゆっくり開けた。

……よかった、ブルーベリー畑じゃない。
それにセブルさんも追ってこないし、卓郎みたいにはならなさそうだ。

安心しながら自分は月明かりに照らされた石畳の道を城に向かって歩いて行った。
そして、重大な事を思い出す

『俺の親父もよく子供の頃に振り向いたらセブルの皺くちゃな顔があって驚いたと言っていたぞ』

……セブルさん、あんた一体何歳なんだ?
ある意味、青鬼よりはるかに恐ろしいかもしれない。


……部屋に風雲たけし城でもつくっとこうかな。










ちなみにその後部屋にもどると

「……クンクン…スーハー……ハム…んん……」

「………」

赤毛の吸血少女
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